「週刊文春」と「週刊新潮」の編集部は17日、電車内の中づり広告を終了することを明らかにした。文春は8月26日発売号、新潮は9月末が最後となる。両誌は今後、デジタル事業の強化を図る。かつては通勤や通学の電車内で目を引く存在だった週刊誌の中づり広告だが、各誌がインターネットに力を入れる中、その存在感は薄まっている。
週刊文春は現在、東京メトロの丸ノ内線、日比谷線など5路線で計1700枚、大阪メトロで計1500枚の中づり広告を掲載。週刊新潮は東京メトロのみに出している。
中づり広告をやめる理由の1つとして、週刊文春編集部は、誌面の校了直前に取れたスクープのタイトルを締め切りの早い中づりには反映できないなど、雑誌制作の制約となるケースが増えていたことを挙げる。週刊新潮は、駅売店やスマートフォンの普及に伴い、「電車内で広告を見て、関心を持った人が雑誌を買うという購買モデルの効果が薄れてきた」と説明した。
週刊文春は今後、宣伝費を同誌の電子版に投入し、強化していく方針。同誌の加藤晃彦編集長は「中づりは、週刊誌の象徴とも言うべき存在で、終了は寂しい思いがある。ただ、ニュースのスピードが速まる中、スクープを掲げる『週刊文春』にとって、デジタルの世界で挑戦していくことはチャンスでもある」とコメントしている。
週刊新潮編集部は、中づり広告の終了で浮いた「余剰の資源」を「取材活動や雑誌づくりにいかすとともに、デジタル戦略として小社展開のニュースサイト『デイリー新潮』の内容増強や宣伝にも活用していきたい」としている。