主張

アフガン首都陥落 バイデン政権の責任重い

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが首都カブールを制圧し、権力を掌握した。タリバン幹部はビデオ声明で、「迅速で比類のない勝利」と宣言した。

軍事攻撃による権力奪取はあってはならない。国際社会は「タリバン政権」は認められないと意思表示すべきだ。

タリバンは6日に南西部ニムルズ州の州都を制圧すると、約10日で支配を全土に拡大した。ガニ大統領は国外に逃れ、民主政権はあっけなく崩壊した。

当面の懸念は治安の悪化である。タリバンが市民に暴力を振るうことは絶対に許されない。日本政府は邦人の安全な退避に全力を挙げてもらいたい。

タリバンの動きを見誤り、攻勢を止められなかったバイデン米政権の責任は重い。4月に駐留米軍の撤収を開始し、8月末までの撤収完了にこだわった。

軍事行動による警告や撤収計画の見直しなど、打つ手はあったはずだ。米国民退避のための土壇場での増派は後味を悪くした。

2001年の米中枢同時テロを受け、米国などはアフガンを攻撃し、タリバン政権を打倒した。

駐留米軍はその後、タリバンの仕掛けるゲリラ戦やテロに悩まされ、政府軍兵士を訓練するも士気は上がらなかった。巨額の費用と犠牲を強いられる「史上最長の戦争」はいつかは終わらせねばならない。だが、その区切りを同時テロ20年という時間に求めたことに無理があったのではないか。

アフガンの国造りは国際社会を挙げての取り組みとなり、日本は主要な支援国となった。02年と12年に東京で支援国会合を開催し、68億ドル以上の援助を実施した。インフラ整備を進め、警察の訓練など人材育成にも尽力した。

これらはすべて、アフガンを再び「テロの温床」としないためである。アフガンにテロリストが巣くい、同時テロの拠点となったのは、内戦に明け暮れ、無秩序状態になったからだ。

タリバンが権力を掌握した、この局面の打開にも、テロとの戦いを第一に考える必要がある。なし崩し的な政権奪取は認められないが、同時に、アフガンが国際的に孤立する事態は避けたい。

米国はもちろん、国連安全保障理事会の協議や、日本を含む支援国などで意見を出し合い、今後の道筋を示してもらいたい。