緊急事態延長、経済損失最大3・4兆円に 民間試算

東京・渋谷のスクランブル交差点を歩く人たち=17日午後
東京・渋谷のスクランブル交差点を歩く人たち=17日午後

政府が17日、新型コロナウイルスの変異株拡大で緊急事態宣言の期限延長と対象地域追加を決め、回復が遅れた個人消費は一層下押しされる。民間エコノミストの試算では、4回目の宣言による経済的な損失は今回の措置を受け3兆4千億~1兆円程度に拡大する見込み。ただ、自粛疲れで人流と感染の抑制はともに限定的になる可能性が高い。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストの試算では、個人消費は東京や大阪など6都府県に対する現行の宣言が9月12日まで延長される影響で6700億円、7府県が新たに加わる影響で5600億円の損失が発生する。延長・拡大前の2兆1900億円が、3兆4200億円に6割増加する計算だ。

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストも国内総生産(GDP)ベースの損失が7500億円から1兆2千億円に、みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストも6千億円から1兆円に増加すると見込む。

政府は宣言の延長・拡大を踏まえ、百貨店など大型商業施設への入場制限の徹底に加え、混雑した場所への外出や買い物の回数を半減するよう求める。ただ、今年に入り緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置がいずれも発令されなかったのは元日~1月7日と3月22日~4月4日の間のみ。人々は自粛疲れで政府要請に耳を貸さなくなりつつあり、消費の減退も限定的になるという皮肉な状況が続く。

一方、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「昨年春頃とは異なり、民間消費以外の需要項目は宣言の影響を受けにくくなっている」と指摘。7~9月期は個人消費の低迷が続くものの、海外経済の回復を背景に輸出や設備投資が堅調さを維持することで、実質GDPの成長率は前期比年率0・8%増と2四半期連続でプラス成長を維持すると予想している。(田辺裕晶)