タリバンがアフガン制圧 ガニ大統領国外脱出、民主政権崩壊

15日、カブールのアフガニスタン大統領府を占拠した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP)
15日、カブールのアフガニスタン大統領府を占拠した反政府武装勢力タリバンの戦闘員ら(AP)

【シンガポール=森浩】アフガニスタンのガニ大統領は15日、全国各地で大攻勢を展開したイスラム原理主義勢力タリバンが「勝利した」とする声明を発表した。ガニ氏は国外に逃れ、タリバンが首都カブールの大統領府を掌握した。2001年の米中枢同時テロ後の米軍攻撃を受けて成立したアフガンの民主政権は、8月末の米軍撤収を待たずして崩壊。かつて政権を追われたタリバンが約20年ぶりに復権する。

タリバン幹部は16日、「比類なき偉業」を達成したとして勝利宣言した。タリバンは政府に速やかな権力移行を求めており、タリバン報道官は「戦争は終結した」と話し、「国際社会との良好な関係を望んでいる」と強調した。

タリバンはバイデン米政権が駐留米軍の撤収作業を開始した4月下旬から攻勢を強めた。今月14日にはかつて反タリバン勢力の拠点だった北部マザリシャリフを、15日には東部ジャララバードを支配下に置き、主要都市をほぼ制圧した。

15日にはカブール郊外への進攻を開始する一方、「人口密度の高い大都市に力づくで入ることは望まない」と述べ、首都での衝突回避に向けた交渉が政府側と進行中だと主張した。その後、「治安維持」名目で構成員がカブール入りし、大統領府を掌握した。カブールでは大規模な戦闘や虐殺などは確認されていないという。

ガニ氏は自身のフェイスブックに「流血の事態を避けるために国を出た」と投稿しており、タジキスタンやウズベキスタンに逃れたとの情報がある。

タリバンは1996~2001年に政権の座にあったが、イスラム法の極端な運用を続け、女性の就学や就労の制限や娯楽の禁止などを徹底した。既に今回の攻勢で支配下に置いた地域では、独身女性が強制的にタリバン構成員と結婚させられる事例が報告されており、人権抑圧再来への懸念が広がっている。

カブールからは各国外交官らの退避の動きが広がり、日本政府も大使館員を国外退避させる方針を固めた。