指揮官と選手を結んだ強い絆 猛練習で五輪「銀」つかんだバスケ女子日本代表

長岡に関しては、ずっと記憶に残っている言葉がある。2017年女子アジア・カップで主力として日本を3連覇に導き、大会ベスト5に選出された翌年の代表合宿で、女子ワールドカップでの自身の役割を聞いたときだった。こちらはバリバリのレギュラーだと思って話しているのに、長岡は「まずは試合に出ること」と訴えるので、どうもかみ合わない。「アジア杯であれだけ活躍したのに、まだ定位置確保に至っていないという認識なんですか」。そう尋ねると、こんな言葉が返ってきた。

「だってトムですよ」

ホーバス監督は過去の実績にとらわれず、状態のいい選手を起用する指揮官だ。今回の五輪代表12人にも、今年初めて代表入りした20歳の東藤なな子(トヨタ紡織)を合宿中にみせた体の強さと守備力を高く評価して抜擢(ばってき)した。五輪1次リーグで全試合先発起用された長岡も、ポジションの重なる宮沢夕貴(富士通)が3点シュートの調子を上げてきたのに伴い、決勝トーナメントでは控えに回った。ただ指揮官の選手起用を公正で的確と信じているからだろう。林咲希(ENEOS)の試合終了間際の劇的な3点シュートで制したベルギーとの準々決勝後、長岡はこんなコメントを残している。

「今朝それ(控えに回ること)が決まり、自分自身もすごく葛藤がありました。相手のインサイドプレーヤーはそこまで速くないので、シューターの方が効くということで交代になりました。今日は最後の時間帯に先発メンバーがそのまま出続けていましたが、それまでにつないだ控えの役割も絶対にこの勝利には必要だったと思います」(日本協会特設サイトより抜粋)

先発を外された選手でもそれに納得し、大事なメダルを自ら進んで指揮官の首にかける-。強固な信頼関係が凝縮された1シーンだった。

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