天皇、皇后両陛下は15日、東京都千代田区の日本武道館で行われた全国戦没者追悼式に臨席された。天皇陛下はお言葉で、昨年に続いて新型コロナウイルス禍にご言及。「私たち皆がなお一層心を一つに」して困難を乗り越え、「幸せと平和を希求し続けていくこと」を願われた。
両陛下は式典で、正午の時報に合わせてご黙禱(もくとう)。続いて陛下が標柱に向かい、時折、標柱を見上げながらお言葉を述べられた。
陛下はお言葉で、昨年は「新たな苦難に直面」としたコロナ禍について、式典が過去最少の参列者での実施を余儀なくされたことなどを踏まえ、「厳しい感染状況による新たな試練」とご表現。また、皆が「なお一層心を一つにし」という言葉を新たに加えた上で「力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくこと」を心から願うと述べられた。
追悼式でのお言葉は、上皇さまが戦後50年の平成7年、戦後70年の27年と、節目の年などに少しずつ新たな表現を盛り込まれてきた。陛下は初めて式典に臨席した令和元年、上皇さまのお言葉をほぼ踏襲したが、昨年は段落を丸々1つ加え、コロナ禍に言及されていた。
今年も同様にコロナ禍に触れられたことについて、側近の一人は「昨年と大きく状態は変わっていないだけでなく、むしろ厳しい感染状況の中で参列する遺族についても、昨年同様、心を寄せられている」と話している。
宮内庁によると、上皇ご夫妻はこの日、お住まいの仙洞(せんとう)仮御所(港区)で式典の様子をテレビで見守りながらご黙禱。両陛下の長女、敬宮(としのみや)愛子さまも、お住まいの赤坂御所で黙禱されたという。