深層リポート

沖縄発 朽ち果てる戦争遺跡 確認調査急務

長年の風雨で劣化が進む陸軍中飛行場戦闘指揮所跡=6月、沖縄県宮古島市上野字上野(川瀬弘至撮影)
長年の風雨で劣化が進む陸軍中飛行場戦闘指揮所跡=6月、沖縄県宮古島市上野字上野(川瀬弘至撮影)

終戦から76年。全国各地には旧陸海軍の陣地跡や住民の避難壕など、さまざまな戦争遺跡があるが、管理が行き届かずに崩壊してしまう遺跡も少なくない。日本の南西に浮かぶ島、沖縄県宮古島市にも先の大戦をしのぶ旧軍施設が多数残されている。しかし長年の風雨にさらされ、劣化が進んでいるのが実情だ。戦争の記憶そのものが薄れゆく中で、保存の在り方が問われている。

避けがたい自然劣化

伸び放題の草を手で払いのけ、やぶの中に分け入ると、分厚いコンクリート壁の堅固な陣地があらわれた。

宮古島のほぼ中央、人家の少ない雑木林にある、陸軍中飛行場戦闘指揮所跡だ。

指揮所の内部は15メートル四方ほどの広さだが、一部は破壊され、がれきが散乱している。住民らが戦後、コンクリートの中の鉄筋を取り出すために爆破したのだという。

壁の一部に、沖縄に多いガジュマルの木の気根(地上に露出した根)が絡みついていた。気根が成長して太くなるとコンクリートも破壊するという、別名〝絞め殺しの木〟だ。この壁も、やがて崩れ落ちるに違いない。

先の大戦で日本軍は、米軍が沖縄侵攻の足掛かりとして宮古島を占領すると予想していた。このため宮古島には第28師団を中心に陸海軍約3万人が配備され、多くの陣地が構築されたが、米軍が宮古島を素通りしたため、破壊されずに残された。

複雑に入り組んだ地下壕、石灰岩をえぐった機関銃壕、水上特攻艇の秘匿壕、堅固に構築された海軍砲台…。市教育委員会の調査によれば、島内で確認された戦争遺跡は計139件にのぼる。

だが、予算も人員も限られ、十分な管理は困難だ。

飛行場指揮所としては県内で唯一現存する陸軍中飛行場戦闘指揮所跡も、「私有地にあるため市が直接管理することはできず、劣化を食い止めるのは難しい」と市教委担当者は打ち明ける。