磁石、監視、不妊 新型コロナワクチンデマの嘘(1/2ページ) - 産経ニュース

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磁石、監視、不妊 新型コロナワクチンデマの嘘

感染拡大が止まらない新型コロナウイルスに対するワクチンについて、若い世代を中心に接種をためらう動きが続いている。一因は、会員制交流サイト(SNS)などで拡散されているさまざまなデマだ。容易に噓と見破れるものがある一方で、出産や健康にかかわるものは真偽の判断が難しく、不安に陥りやすい。デマにだまされずワクチン接種を推進するには、多くの人が情報の正しい見極め方を身に付ける必要がある。(伊藤壽一郎)

「体に磁石がくっつく」

日本国内の新型コロナワクチン接種は1億回を突破し、65歳以上の高齢者は8割以上が2回目の接種を完了している。だが若い世代の接種への躊躇(ちゅうちょ)もあって、全体の2回目完了率は3割台にとどまる。接種の浸透を阻害するデマとは、いったいどんなものなのか。

有名なのは「新型コロナワクチンを接種すると、体に磁石がくっつくようになる」というもので、SNSで公開された動画などがきっかけで拡散した。米疾病対策センター(CDC)は「ワクチンには磁気を帯びさせる物質は含まれない」と即座に否定している。

「マイクロチップ(微細な電子標識)が入っていて政府に行動を監視される」というのもある。もちろんメーカーや各国の保健当局が公開しているワクチンの成分に、含まれていることはない。

実用化で先行したワクチンが、遺伝情報を伝えるメッセンジャーRNA(mRNA)という物質を使っていることから「体内にワクチンの成分が残り、政府に都合がいいように遺伝情報が書き換えられる」との噂が広まった。だが、厚生労働省は「注射されたmRNAは体内で短期間で分解され遺伝情報に組み込まれることはない」としており、噓であることは明らかだ。

素人には難しい真偽判断

こういった陰謀論のようなデマは常識でも見破れる。だが、専門的な知識がないと真偽の判断が難しいものがある。典型的なものが「胎盤の形成に関わるタンパク質は新型コロナの表面のタンパク質と類似した形状のため、ワクチンで作られた抗体に攻撃され壊される」というまことしやかなデマだ。

妊娠前の接種は不妊、妊娠中は流産につながるとしているが、これまでの研究で抗体は胎盤のタンパク質を攻撃しないことが判明。厚労省もCDCも流産への影響はないと報告したが、まだ広く知られていない。

「ワクチンの接種は自閉症の発症につながる」とするデマもある。過去に、はしか、おたふく風邪、風疹の3種混合ワクチン接種で子供が自閉症になったと報告する論文が権威ある専門誌に発表されたことがあり、これに端を発した誤解とみられる。

後に行われた別の大規模な研究でワクチンと発症の関係が否定され、論文自体も不備が判明し撤回されたのだが、この経緯を知らない専門外の人が拡散を続けているらしい。新型コロナワクチンと自閉症を関連づける科学的事実の報告はない。