熊楠が描く神秘の植物「マンドレイク」初公開 - 産経ニュース

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熊楠が描く神秘の植物「マンドレイク」初公開

南方熊楠が描いたマンドレイクの絵=和歌山県白浜町の南方熊楠記念館
南方熊楠が描いたマンドレイクの絵=和歌山県白浜町の南方熊楠記念館

和歌山県出身の世界的な博物学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす、1867~1941年)が描いた神秘的な植物「マンドレイク」の絵が見つかり、同県白浜町の南方熊楠記念館で初公開されている。毒性が強く、欧州では魔術や錬金術に使われたとされる植物。絵は引き抜く様子とみられ、分かれた根の形から人間にたとえられることもあるマンドレイクを、女性の姿で表現している。

地中海沿岸に分布するナス科の植物で、記念館によると、欧州では引き抜くとマンドレイクが悲鳴を上げ、その声を聞いた人間は死ぬとされた。マンドレイクと犬をひもでつなぎ、餌で犬をおびき寄せて引き抜けば、犬は悲鳴を聞いて死ぬが、人間は助かるとも言い伝えられていた。

南方熊楠(南方熊楠記念館提供)
南方熊楠(南方熊楠記念館提供)

今回見つかった絵は、こうした場面を表現しているとみられ、マンドレイクは頭に葉をかぶったような女性として描かれ、足首には犬がつながれたひもがくくりつけられている。そばの男性は採取に来たとみられ、農具がある。右側の絵は、同様に根が複雑な高麗人参(こうらいにんじん)を擬人化して表現したと推測できるという。

記念館職員が数年前、熊楠の資料を整理する中で、大正3年の雑誌「日本及日本人」に挟まれた状態で見つけた。英国の百科事典に、似た構図のマンドレイクの絵があり、熊楠が模写した可能性が高いという。

絵に添えられた「マンドレイクの古図」などの筆跡から熊楠自筆と特定できた。熊楠は明治28~31年、英科学誌「ネイチャー」に、マンドレイクが欧州からアラビア半島を経て中国に伝わったなどと記した論文を3回にわたり掲載しており、記念館の三村宜敬(のぶたか)学芸員は「熊楠がさらなる論を展開するために描いたのではないか」と話している。

マンドレイクの絵は、9月1日まで記念館で開催中の「熊楠が収集した雑誌展」で公開されている。