浪速風

宝塚歌劇公演「桜嵐記」に思う

桜井の駅跡に建つ楠木正成、正行父子の「桜井の別れ」像=大阪府島本町(恵守乾撮影)
桜井の駅跡に建つ楠木正成、正行父子の「桜井の別れ」像=大阪府島本町(恵守乾撮影)

「クスノキマサツラのお墓、シジョウナワテにあるらしいよ」。電車で若い女性の会話が聞こえ驚いた。楠木正行(まさつら)に四條畷(しじょうなわて)は難読漢字だろう。ネットでも取り上げられているが、南北朝時代の武将・楠木正成の嫡男(ちゃくなん)、正行の生涯を描き、東京で公演中の宝塚歌劇団「桜嵐記(おうらんき)」(8月15日まで)が話題だ

▶人気トップスターの退団公演でもあるが、小紙でも正成や正行が登場する「日本人の心」を連載していた。令和元年には地元の河内長野市が「中世に出逢(あ)えるまち」として日本遺産に選ばれている。悔しいがそれらに比べても格段の話題性である

▶宝塚作品は正行が自身の生と死の意味を問いかけるなど現代的な解釈だ。考えてみると正成の活躍を描いた「太平記」しかり、物語とはこうして時代によって脚色され変化し愛されてきたものだということがわかる。正成というと今も皇国史観に関連付けられがちだが、歴史を俯瞰(ふかん)する目と自ら考える力を持ちたいもの。