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(206)糖尿病は眼科とも付き合いを

糖尿病という病名はよく知られていて、肥満や食べ過ぎ、運動不足が原因となることも理解されています。ですが、糖尿病になると何が問題なのかと聞かれると、答えられる人はそう多くはないのかもしれません。糖尿病には目の合併症もありますが、意外と知らない人が多い気がします。

70代前半の男性がクリニックを受診しました。長年高血圧の治療を受けていて、数年前からは糖尿病の治療も始まっていました。最近急激に視力が衰えてきたため眼科を受診してみたところ、白内障と眼底出血を指摘されたそうです。生活に支障をきたすほどの視力低下ですが、特に治療することもなかったそうです。

いつから糖尿病になっていたか正確には分からず、治療にもそれほど積極的に取り組まなかったようです。糖尿病と言われてからも眼科にかからず、見えにくくなってから受診したそうです。

糖尿病には網膜症と呼ばれる目の合併症があります。これは目の奥にある細い血管が高血糖で傷み、網膜に出血やむくみを起こすことによります。ひどくなると視力や視野の障害として症状に表れて、失明することもあります。糖尿病患者の1~2割に網膜症があるとされ、糖尿病になってから5年以上経過すると出てくることが多く、特に高血糖の期間が長いと危険度は高まります。

網膜症を起こさない、または悪化させないためには血糖値の管理が大切です。糖尿病のコントロールの指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)を7%未満に保つことで、網膜症だけでなく糖尿病による腎障害も防ぐことができるとされます。また、糖尿病と診断されたら眼科で眼底検査を受け、たとえ問題がなくても年に1回はその後も眼科を受診するようにしましょう。

この男性患者さんには総合病院の眼科を紹介し、白内障と網膜症による眼底出血および、網膜の中心部で視力に大きく影響する黄斑のむくみ(黄斑浮腫)と診断されました。眼底は早期に処置が必要な状態であったため、まずは白内障の手術を受け、その後に網膜症に対する治療を受けました。術前は街を歩くのが怖いというほど見えていなかったのですが、術後は日常生活にあまり支障がない程度まで視力は回復し喜んでいました。この視力を維持するためにも、これからは糖尿病の治療に前向きに取り組もうという気持ちになっているようです。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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