東京の高齢感染者、1カ月で4・5倍に増加

新型コロナウイルスの感染者が高止まりしている東京都で、65歳以上の感染者が1カ月前に比べて4・5倍に増えたことが12日、都のモニタリング会議で明らかになった。高齢者は重症化しやすい上、入院期間も若・中年層に比べて長期化しがちだ。病床の使用率を押し上げかねず、都は高齢者に新たな治療法を積極的に導入するなど対策を進める。

65歳以上の感染者数を1週間単位で分析すると、第4波のピークだった4月下旬~5月上旬は600人前後で推移した。全体の感染者減少に伴ってじわじわと減り、7月6~12日には213人になった。ところが、第5波に突入すると一気に増加に転じた。8月3~9日には956人と1千人に迫り、1カ月で4・5倍に増えた。

都内では高齢者の8割がワクチンの2回接種を終えており、感染者全体に占める割合は低いまま。第4波のピーク時は10%を超えていたが、7月下旬以降は2~3%にとどまる。8月5日の感染者が5千人を超えるなど全体の感染者急増が、高齢者の数も押し上げた形だ。

直近8月3~9日の高齢者の感染者数は前週比1・6倍で、感染者全体の増加比を上回る。12日時点の都内の重症病床の使用率は56%。長期間ベッドを占有する高齢者がこのまま増加すれば、医療逼迫(ひっぱく)を引き起こす恐れがある。

都によれば、高齢者の感染経路は家庭内や高齢者施設などで、ワクチン未接種の世代からが目立つという。11日時点で都内の12歳以上のワクチン接種率は36%。都は若い世代のワクチン接種を加速させることで高齢者への感染を防ぐほか、12日には新型コロナ治療薬「抗体カクテル療法」の積極導入も発表した。

高齢者ら重症化リスクのある感染者に積極投与する方針で、医療機関だけでなく一部の宿泊療養施設でも使用できるよう体制を整える。国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「早めに使えば重症化しにくい」と評価しており、都は高齢者によって重症病床が埋め尽くされる事態だけは避けたいとしている。(大森貴弘)

>呼吸困難でも搬送拒否 都内医師「医療崩壊起きている」