40度でも「軽症」、中等症は「おぼれる苦しさも」 静岡の専門家指摘

新型コロナウイルス患者の症状について、静岡県内のある日の新規感染者の20代男性に関する発表では「軽症」として、「発熱(40・0度)、せき、頭痛、鼻汁、味覚・嗅覚障害」と列挙された。行政から「中等症」「重症」などと日々発表されるがその程度は、日常的な言葉の感覚と異なることに注意が必要だ。県内の専門家は「『中等症Ⅱ』はおぼれるような苦しさ」と指摘、デルタ株(インド由来変異株)でさらに高まった危険性を正しく把握し、感染自体を防ぐよう訴えている。

既に「重い」中等症

新型コロナについては国が作った医療関係者向けの診療の手引で「軽症」「中等症Ⅰ」「中等症Ⅱ」「重症」の4段階に分類。県などの発表もこれに沿っている。違いはおおまかには、呼吸器の異常の内容だ。

軽症は、呼吸器症状がないか、せきのみで、肺炎がない場合を指す。発熱や痛みの程度は、直接は関係がない。

中等症は、日常的感覚だと〝少しつらい程度〟に感じてしまいそうな語感だが、既に肺炎や呼吸困難が生じている状態だ。「Ⅰ」は、肺から十分に酸素を取り込めない「呼吸不全」にはまだ陥っていない程度。「Ⅱ」では呼吸不全があり、酸素投与が必要なほど悪化した状態のことを指し、高度な医療を行う施設へ転院を検討するレベルとなる。一般的な感覚からすれば、かなり重い症状だ。

そして「重症」は、自ら酸素を取り込むことが難しく、人工呼吸器が必要か、集中治療室(ICU)に入る、命の危機に至っているレベルとなる。

このため専門家は、中等症を軽く捉えないよう戒める。呼吸をしようとしても十分な酸素が入ってこないため「多くの人にとって人生で一番苦しい状態だ」と表現する人もおり、静岡県病院協会会長の毛利博医師は、中等症Ⅱは「おぼれるような苦しさだ」と指摘する。

のど違和感→5日後肺炎

当初はかぜ程度の感覚でも、中等症以上へ容態が急変する場合のスピードが速いという、新型コロナの特徴もある。デルタ株で速度はさらに上がっていて実際、浜松市の50代男性は、7日時点ではのどの違和感程度だったが5日後の12日現在、中等症で酸素吸入が必要な肺炎となっている。

以前は高齢者が多数だった重症も40代に広がった。毛利氏は「若い人は症状が軽いなどとあなどってはならない」と強調する。後遺症の重さも指摘されている。

静岡県内は中等症はまだ「原則入院」(県の感染症対策担当者)が維持されているが、感染者増加ペースは増加の一途で、入院者は2週間で倍増、自宅療養も含め療養中の人は2000人に迫る。全国では政府が、一部の中等症は入院とせず自宅療養を基本とするとの新方針を一時検討した経緯もある。県内もいつ、医療対応能力を超え、別の疾患を含めて通常は助かる命が助からない状況になるか、予断を許さない。医療関係者は「感染自体しない、拡散させないよう心がけてほしい」と強く求めている。