「何が分からないか分からない」 コロナ長期化で新入社員育成に課題

新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、若い人材をどう育成するかが企業の課題となっている。コロナ禍で昨年入社した社員も2年目に突入。非対面の状況が続く中で、社内の人間関係や、業務習得に時間がかかるなど、従来とは異なる悩みに直面している。先輩の仕事ぶりを見て覚えるといったことも、オンライン環境では難しく、企業には従来の新人教育の枠組みにとらわれない工夫や、サポートが求められそうだ。

「目の前に聞ける人もいなく不安が大きかった」。ある金融機関に務める入社2年目の男性(25)は、この1年をそう振り返る。研修も配属後もオンラインが中心。オンライン上で先輩社員に積極的に声をかけて教えを乞い、早くなじめるように努めたが、業務知識を身につけるのにも時間がかかったと明かす。

新型コロナで一気に広まったテレワーク。製造現場など一部業種では導入の難しさが指摘されているが、これから仕事を覚える新入社員にとっても、大きな不安材料になっている。

ある中堅IT企業の関係者も「オンラインは効率的な半面、学びや新たな発想を生み出すという観点ではデメリットもある」と話す。特に知識や経験、人脈のない新人の育成は課題だ。「IT企業でも先輩の背中を見て覚えることは多い」といい、出社できるときは対面での指導も重視していると明かす。

人材育成支援などを行う「日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)」が昨年の新入社員などを対象に行ったアンケートでは、「上司・先輩といい関係が築けない」「何が分からないか分からない」といった不安の声が、コロナ前よりも増加。指導する側も、65・6%が「指導しにくくなった」とし、新人の配属時期が遅れるなど影響があったとの回答も66・9%に上った。

企業にも工夫する動きが出始めている。第一生命保険は「研修終了後に孤独を感じる新人は少なくない」ことから、同期の「横」のつながりと、上司など「縦」のつながりを強化するため、6~7人のチームに分かれ、新規ビジネスを考える研究大会をオンラインで開催するなど、コミュニケーションの活性化に工夫を凝らす。

コロナ禍では新人の帰属意識が育たないことも懸念されており、凸版印刷はVR(仮想現実)技術を活用し、オンライン上で会社の施設見学などを実施した。

JMAMカスタマーリレーション部の斎木輝之部長は「コロナ禍で新人が不安に感じる要素が変わってきている。従来のように短期間に研修を詰め込むのではなく、アフターフォローをしながら長期的視点で教育設計をしていくことが重要だ」と話している。