東京都、宿泊療養施設の活用足踏み 看護師不足、「準病院化」難航

新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都で、宿泊療養施設の活用が進んでいない。看護師不足を背景に、療養者は受け入れ可能人数の6割程度にとどまる。都は感染者や重症者の増加に伴う病床逼迫(ひっぱく)を受け、一部の宿泊施設を「準病院化」する緊急体制への移行を目指すが、実現に向けても看護師不足が懸念材料になっている。

「宿泊療養を増やしたいが、ホテルに配置する看護師の確保が非常に難しい。医療機関だけでなく人材派遣会社にも依頼して確保を急いでいるが、自宅療養への対応やワクチン接種など必要な場面が多く、奪い合いの状況だ」。都の担当者は現状をこう打ち明ける。

都は、基礎疾患があるなど自宅療養が難しい感染者を対象に宿泊療養を進めている。12日時点で確保したホテルは16施設、6240室。入所者の入れ替えには消毒作業などが欠かせないため、運用上の受け入れ上限は3210人と定めている。

これに対し、10日時点の宿泊療養者は1820人。「稼働率」は受け入れ可能人数の約6割、確保した部屋数の約3割にすぎない。背景にあるのが看護師の不足だ。

感染者が宿泊施設に入る際、看護師は健康観察を行う。対面で持病や服用薬を聞き取るほか、感染者の不安や健康相談に応じるなど1時間以上かかるケースも少なくない。看護師1人が1日に対面できるのは、4~5人程度となる。

1施設につき、リーダーを含めて10人弱配置できれば1日500人前後の受け入れが可能だ。平均滞在日数は6日のため、フル稼働となる想定だった。ところが実際には看護師を十分に配置できず、1日100人前後の受け入れにとどまる。

都内では感染者や重症者の増加によって、病床が逼迫している。都は8月以降、医療崩壊を避けるための緊急体制に移行すると表明。柱の一つが、一部の宿泊施設の「準病院化」だ。酸素濃縮器を配備し医師の往診体制を整えるなど、医療機能を付加して病床を肩代わりする狙いがある。

ただ、これにも医療スタッフ、特に看護師の配置は欠かせない。都はどの程度の人員が必要になるか精査中だが、現段階の宿泊療養施設でさえ満足に配置できていない以上、難航は必至だ。都の担当者は「あらゆる関係機関に協力をお願いしてかき集める」と強調するが、準病院化は「絵に描いた餅」に終わる可能性もある。