主張

電源別コスト試算 混乱を招く公表は問題だ

経済産業省が2030年時点の電源別の新たな発電コストの試算をまとめた。

1キロワット時あたりの発電コストは事業用太陽光が18・9円と最も高く、陸上風力で18・5円、原子力が14・4円となった。一方、化石燃料の石炭火力が13・9円、液化天然ガス(LNG)火力は11・2円となった。

同省は今年7月に機械的に計算した発電コストを公表し、そこでは事業用太陽光が原子力よりも安いとしていた。

だが、天候に発電量が大きく左右される事業用太陽光は、その変動を火力発電で調節する必要がある。今回の試算ではそのコストを追加し、より実態に近い数値を算出し直したという。

政府は温室効果ガスの排出削減に向け、太陽光の大量導入を計画している。脱炭素の国民負担を軽減するため、その導入費用をいかに抑えるかが重要となる。

経産省は、政府のエネルギー政策の中期的な指針となる「エネルギー基本計画」の改定案をまとめた。この改定作業に合わせて、30年時点の新設電源別の発電コストも見直すことにした。

基本計画案に先立って示された機械的な試算によると、事業用太陽光の発電コストは、1キロワット時あたり8円台前半から11円台後半と見込まれ、11円台後半以上の原子力よりも安いとしていた。

だが、今回の試算で発電量の変動を抑えるバックアップ電源の火力発電費用なども追加した統合的な発電コストは、事業用太陽光が最も高くなり、原子力などよりも割高との結果となった。

この試算には、発電所から基幹送電網につなげる費用は計上されていない。それを含めると事業用太陽光のコストはさらに高くなる可能性があるという。

実態に合わせた正確な試算が欠かせない。

試算の公表手法も問題だ。経産省は当初、機械的な発電コストだけを示し、混乱を招いた面は否定できない。同省の有識者会議でも「内容が正確に伝わっていない」との意見が相次いだ。

基本計画案は30年度の電源構成について、再生エネを主力電源として36~38%に高める方針を打ち出した。その導入費用を分かりやすく示すとともに、多様な電源を組み合わせてコスト削減を図る工夫が問われている。