入管局の医療体制「不十分」 スリランカ女性死亡で調査報告

調査報告書の公表について説明する出入国在留管理庁の佐々木聖子長官=10日午前9時5分、法務省
調査報告書の公表について説明する出入国在留管理庁の佐々木聖子長官=10日午前9時5分、法務省

名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設に収容中だったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が3月に死亡した問題で、出入国在留管理庁は10日、休日に医師らとの連絡手段がないなど名古屋入管局の医療体制が不十分で、現場と幹部の情報共有体制にも問題があったなどとする調査報告書を公表した。

入管庁は近く遺族に報告書を説明し、ウィシュマさんが亡くなる直前の監視カメラ映像を遺族に限定して開示する。先の通常国会では映像開示をめぐって入管難民法改正案の審議が紛糾し、法改正が見送られていた。入管庁の佐々木聖子長官は「責任を痛感し、深くおわびする」と述べ、当時の名古屋入管局長と次長を訓告とするなど4人を処分したと明らかにした。

調査報告書は医師や弁護士ら有識者6人を含む入管庁の調査チームがまとめた。報告書によると、名古屋入管局の施設には週2回各2時間勤務の非常勤内科医しかいないなど医療体制に制約があり、2月15日にウィシュマさんの尿検査で異常値が見つかったのに追加検査に至らなかった。

2月下旬にウィシュマさんが点滴や外部受診を求めた際には、内規で必要な幹部への報告がなかった。看守や准看護師の資格を持つ職員が、報告の必要性を事前に判断する運用が続いていたためだった。また、容体が急変して亡くなった3月6日は土曜だったが、休日に医師らに相談する手段を確保していなかった。

一方、死因については甲状腺炎のほか、脱水や抗精神病薬の影響などが外部の専門医から指摘されたが、特定できなかったとした。

改善策として、常勤医の配置や休日の外部医療機関との連携強化のほか、収容者の健康状態や受診希望などの情報共有を含む組織改革などを盛り込んだ。

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