大阪「第5波」 若者感染、職場クラスター増も対策手詰まり感

新型コロナウイルス特別措置法に基づく4度目の緊急事態宣言が発令されている大阪。高齢者のワクチン接種が進む一方、若い世代の感染者が増える中、職場や学校でのクラスター(感染者集団)が増え始め、企業も対策を強化している。だが、テレワークや出張禁止など、かねて取り組んできた対策が中心で、現場には手詰まり感もある。


府民接種3割

大阪府によると、第4波(3月1日~6月20日)で発生したクラスター272件で最も多かったのは高齢者施設で、38・6%を占めた。だが、第5波の6月21日以降は激減しており、7月29日までに確認された48件のクラスターのうち、高齢者施設は6・3%。一方、企業・事業所は31・3%、大学・学校は20・8%と、第4波に比べて割合は増加している。

府は、ワクチンが行き届いていない年代が集まる大学や職場などで感染拡大が起きているとみている。今月9日時点の府内の接種率は、65歳以上の高齢者は約8割だが、医療従事者を除く府民の全年代では約3割にとどまっている。

吉村洋文知事は「感染対策を取っていても、(インド由来の)デルタ株の感染拡大力は強い。大学や事業所でより強い対策を取ってもらいたい」とする。府はワクチン接種を進めつつ、大学生向けにチラシなどで感染リスクが高い部活動や会食の自粛を呼びかけるほか、企業にはテレワークの推進を求めている。


商業施設でも

デルタ株への危機感は、企業でも高まっている。「食の阪神」として知られる阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)では7月27日以降に感染が急増、8日までに従業員145人の感染を確認した。

マスク着用や手指消毒など、基本的な対策は徹底していたといい、クラスター発生の経緯は不明だ。感染したのは地下1階と1階にある食料品売り場の関係者が中心で、7月31日から2日間は全館休業。食料品売り場は休業を継続しており、20日にようやく再開予定だ。

東京都内の商業施設でも従業員の間で感染が拡大している。「ルミネエスト新宿」では、7月21日以降に従業員計59人(今月3日時点)の感染が判明。伊勢丹新宿店も7月28日から今月4日までに従業員計88人が感染し、食料品売り場の一部を休業した。

各企業は対策の徹底を進めている。ダイキン工業は大阪府内のオフィスへの出社率を3割に抑制し、在宅勤務を強化。大和ハウス工業は3割としていた大阪本社の出社率を「1部署あたり3人まで」に厳格化し、超過する場合は届け出が必要とした。

ただ、テレワークは職場クラスターの防止にはつながるものの、有効性には疑問が残されたままだ。「わが社での感染防止策は、やり尽くした感がある」(東洋紡)との声も聞かれた。


デルタ株猛威

日本の企業数の99・7%、雇用の約7割を占める中小企業も、対応に苦慮している。

プラスチック雑貨などの企画・製造を行うカワキタ(大阪府東大阪市)の河北一朗社長(54)は、「コロナ対策といっても、なかなか難しい」と打ち明ける。可能な範囲でテレワークを導入してはいるが、業務の性質上、限定的にならざるを得ない。出張や取引先との面談は「業務上必要」といい、自粛はしないという。

即席焼きそばを焼くためのホットプレート「焼きペヤングメーカー」など、ユニークな家電を製造するライソン(同市)は、コロナ禍の「巣ごもり需要」で売り上げが伸びた。一方、海外出張ができないため、家電製品の製造を委託する中国企業との交渉はオンライン。山俊介社長(39)は「最終的には直接会って話すほうが話が早い。新製品の仕込みで影響がある」と話す。

クラスターの発生傾向の変化について、関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「高齢者へのワクチン接種は進んでいるが、若年層へは滞っている」と、ワクチン接種との関連性を指摘。感染力が強いデルタ株の猛威で「これまでの行動様式ではコロナにかからなかった人への感染が拡大しているのでは」と述べた。

ただ、デルタ株に対しても、必要な対策は従来と大きく変わらないという。勝田氏は「マスクの着用や手洗い、ソーシャルディスタンスを守るなど、これまでと変わらない対策を徹底すべきだ」と話した。