異論暴論

正論9月号好評販売中 令和の安全保障考 紛争回避へ抑止力強化を

令和の時代の安全保障環境は軍事にとどまらず、経済、デジタルなど広範に及ぶようになり、その変化は速い。

安倍晋三前首相と元陸上幕僚長の岩田清文氏、元内閣官房副長官補の兼原信克氏の鼎談(ていだん)は、日本の安全保障を担っていただけに生々しく、抑止力を持つことの重要性が繰り返し指摘される。安倍氏は台湾有事で「危機は日本にも及ぶ。先島諸島を取りにくる」と述べ、尖閣諸島についても中国が日本の覚悟を見誤らないように静かな能力構築が必要だとする。

「国境線は最後はその国の陸軍の兵士が立つ位置」と岩田氏は冷徹な現実を解説。先島諸島を取られると奪還は困難で、作戦上、一旦下がるという選択肢も「国境線を明け渡すということでありえない」と断言する。兼原氏は日米豪印に加えて欧州を深く関与させるべきで、「日米同盟はやがて経済規模で中国に抜かれるが、日米欧が抜かれることはない」と指摘する。習近平国家主席は「力の論理」の信奉者だけに、構えておかないといつ虚をつかれてもおかしくない。

尖閣有事も台湾有事もカギは強固な日米同盟である。元陸将の磯部晃一氏は、軍事科学技術の趨勢(すうせい)にあわせて変革を試みる米海兵隊の戦力構成を分析。ハドソン研究所研究員の村野将氏は、中国による台湾への軍事侵攻の時期についての国防総省と現場司令官の意見の相違や国防予算編成の相克から台湾の防衛戦略への影響を読み解く。

機密情報を扱うデジタル安全保障について日本の遅れは甚だしいとして、慶應義塾大学教授の手塚悟氏は政府による担当組織の特定が重要だと訴える。米中の対立は経済安保の側面から制裁をかけあう法律戦にまで及ぶ。株式会社アシスト社長の平井宏治氏は、脱中国を図る日本企業への支援を求めた。(楠城泰介)

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