長崎平和祈念式典 首相あいさつ全文

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で献花する菅首相=9日午前、長崎市の平和公園(代表撮影)
長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で献花する菅首相=9日午前、長崎市の平和公園(代表撮影)

長崎市で9日に開かれた長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典での菅義偉(すが・よしひで)首相のあいさつの全文は以下の通り。

本日ここに、被爆76周年の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に当たり、原子爆弾の犠牲となられた数多くの御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。

そして、いまなお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。

世界は今も新型コロナウイルス感染症という試練に直面し、この試練に打ち勝つための奮闘が続いております。

わが国においても、全国的な感染拡大が続いておりますが、何としても、この感染症を克服し、一日も早く安心とにぎわいのある日常を取り戻せるよう、全力を尽くしてまいります。

今から76年前の今日、原子爆弾によって一瞬にして焦土と化しましたが、市民の皆さまの並々ならぬご努力により、長崎は焦土から立ち上がり、平和と文化を象徴する国際文化都市として、めざましい復興を遂げられました。

この地が美しく復興を遂げたことに、私たちは改めて、乗り越えられない試練はないこと、そして、平和の尊さを強く感じる次第です。

長崎および広島への原爆投下から75年を迎えた昨年、私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で、「ヒロシマやナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信をしました。

唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けた国際社会の努力を一歩ずつ、着実に前に進めていくことは、わが国の変わらぬ使命です。

現在のように、厳しい安全保障環境や、核軍縮をめぐる国家間の立場の隔たりがある中では、各国が相互の関与や対話を通じて不信感を取り除き、共通の基盤の形成に向けた努力を重ねることが必要です。

核兵器不拡散条約は、核兵器国および非核兵器国を含む191の国と地域が参加する国際的な核軍縮・不拡散体制の基礎となるものです。日本政府としては、次回NPT運用検討会議において意義ある成果を収めるべく、核軍縮に関する「賢人会議」の議論等の成果も生かして、各国が共に取り組むことのできる具体的な措置を見いだす努力を、引き続き粘り強く続けてまいります。

被爆者の高齢化が進む中、被爆の実相を世代と国境を越えて広めていく重要性はますます高まっております。わが国は、被爆者の方々とも協力しながら、核兵器使用の惨禍に関する記憶を受け継いでいく取り組みを継続していく決意であります。

被爆者の方々に対しましては、保健、医療、福祉にわたる支援の必要性をしっかりと受け止め、高齢化が進む被爆者の方々に寄り添いながら、今後とも、総合的な援護施策を推進をしてまいります。特に、原爆症の認定について、できる限り迅速な審査を行うよう努めてまいります。

結びに、ここ長崎市において、核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことをお誓い申し上げます。原子爆弾の犠牲となられた方々のご冥福と、ご遺族、被爆者の皆さま、ならびに、参列者、長崎市民のご平安を祈念いたしまして、私のあいさつといたします。

■首相「原爆症認定迅速に」 「黒い雨」訴訟言及せず 長崎平和祈念式典