五輪競泳 激減した入賞数 強化策見直し

【東京五輪2020 競泳】男子200メートル個人メドレー決勝 プールサイドでレースを見た平井伯昌ヘッドコーチ=7月30日、東京アクアティクスセンター(恵守乾撮影)
【東京五輪2020 競泳】男子200メートル個人メドレー決勝 プールサイドでレースを見た平井伯昌ヘッドコーチ=7月30日、東京アクアティクスセンター(恵守乾撮影)

競泳は金2、銀1の計3個のメダルを獲得した。計7個だった2016年リオデジャネイロ五輪に続いて複数金メダルは達成したものの、入賞は前回の21から9に激減。自己ベスト更新者も少なく、平井伯昌ヘッドコーチ(HC)は「他国に比べて目線が下がっていた。プロセスは成功ではなかった」と渋い顔だった。

通常午前に行われる予選が午後に組み込まれ、通過ラインのレベルが上がった。序盤戦では瀬戸大也(TEAM DAIYA)、松元克央(セントラルスポーツ)らメダル候補が本命種目で予選敗退。競技5日目で大橋悠依(イトマン東進)が個人メドレー2冠、19歳の本多灯(アリーナつきみ野SC)が200メートルバタフライで銀メダルを獲得するまで、重苦しい空気を払拭するのに時間がかかった。

新型コロナウイルス禍で代表活動が限られ、五輪までの調整にばらつきがあったことも要因だ。代表33人中、22人が初五輪。新顔のコーチも多かった分、指揮官は「もう少し経験が少ない選手へのフォローができなかったか。私を含めコロナのせいにしていた部分はある」と反省した。まずは来年5月の世界選手権を見据え、種目ごとの合宿を取り入れるなど「一体強化」を進める方針だ。

瀬戸や松元ら主力の多くは3年後のパリ五輪も見据える。ただ、大学生以下の13人のうち個人で決勝に進んだのは本多のみと、若手の台頭が見られなかったことは懸念材料だ。4大会連続出場のベテラン入江陵介(イトマン東進)は「世界のレベルが上がる中、日本も上がっていると胸を張っていえない。強化の見直しも必要だし、来年以降、世界大会で突き抜ける若い選手がでてきてほしい」と発奮を促す。平井HCも「地方から選手が出てくるのを待つだけでいいのか。ジュニア合宿の方法も考えていかないといけない」と危機感を口にした。

(川峯千尋)

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