フェアリージャパン、年350日の共同生活で育んだ絆

新体操団体の日本代表「フェアリージャパン」=5日、有明体操競技場
新体操団体の日本代表「フェアリージャパン」=5日、有明体操競技場

東京五輪最終日の8日、新体操団体総合の決勝が行われ、日本代表「フェアリージャパン」は、2種目合計72・500点の8位で大会を終えた。年間350日の共同生活を送り、1日8時間以上もの過酷な練習を乗り越えて迎えた五輪の決勝。華麗な演技と輝く笑顔を披露した選手らに、会場関係者から暖かい拍手が送られた。

ミスも…あきらめず

決勝に出場したのは、キャプテンの杉本早裕吏(さゆり)(25)、熨斗谷(のしたに)さくら(23)、竹中七海(ななみ)(22)、鈴木歩佳(あゆか)(21)、そして大会直前の練習でけがをした横田葵子(きこ)(24)の代わりに入った松原梨恵(27)だ。

1種目目のボールでは、数々のオリジナルの連携技を繰り出し、足や背中でキャッチする高度な連係技を成功。2種目目は、フープ・クラブを使って日本の四季を表現し、桜を咲かせるポーズで締めくくった。いずれも途中でミスが出たものの、最後まであきらめずにやり切った。

世界基準に選手強化

日本代表は、出場権すら逃した2004年アテネ五輪からチームを改革。年間350日の共同生活でチームワークを育み、本場ロシアを拠点に過酷な鍛錬を続けてきた。

その結果、17年世界選手権で42年ぶりに団体総合で表彰台に上がり、19年世界選手権では団体総合で44年ぶりの銀メダル、さらに団体種目別で初の金メダルを獲得するなど躍進を続けてきた。

その成長を導いたのは、1984年ロサンゼルス五輪代表で日本体操協会の強化本部長、山崎浩子さん(61)だ。世界基準の強化を進めるため、全国から有望な選手を集めてオーディションを行い、体形の美しさと柔軟性を重視して約10人を発掘。半数以下の5人だけが五輪に出場できるという競争下で、メンバーは切磋琢磨(せっさたくま)した。

ロシアで技と美磨き

05年頃からは、千葉市内のマンションで共同生活を始め、選ばれた選手らは、年間350日、寝食をともにしてきた。08年北京、12年ロンドン五輪の元主将で、東京五輪では解説を務めた田中琴乃さん(29)は「最初は共同生活に戸惑いもあったが、次第にチームワークや絆が形成された」と振り返る。

バレエのレッスンなど基礎になる練習は連日8~9時間に及び、手具の投げ方なども猛練習。「5人の動きをそろえるために、それまでの癖を修正し、指定されたやり方を習得する。できなければ外されていった」と田中さん。

北京五輪の翌年からは、「芸術と文化の都」と呼ばれるロシアのサンクトペテルブルクにも拠点を置き、1年の半分は同地で強化合宿。強豪国・ロシア代表も指導したインナ・ビストロヴァ・コーチに師事し、「女優になれ」「練習もネイルとメークをしなさい」などと独特な指導で表現力や美意識を高め、豊富な練習量で技に磨きをかけた。

東京五輪で表彰台はならなかったが、一段と力を付けた妖精たちは、世界の舞台で美しく羽ばたいた。(王美慧)

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