東京の衆院5増「支持者離れ」「一極集中」に懸念

「一票の格差」是正のため、昨年の国勢調査結果に基づき次々回の衆院選から定数「10増10減」の見直しが行われることになり、東京都選出の国会議員が頭を抱えている。都内の25選挙区が30選挙区に増え、都市部を中心に大きな区割りの変更も予想され、これまでの支援者が選挙区外の住民となる可能性があるためだ。一方、定数減の対象となる地方からは「東京一極集中」への懸念も上がる。

小選挙区制が導入された平成8年の衆院選以降、衆院選挙区画定審議会(区割り審)は3回にわたって区割り改正案を勧告、実施してきた。今回、区割り審は改定案を来年6月25日の法定期限までに作成し、首相に勧告する日程を確認している。区割り対象は、定数「0増6減」だった29年の19都道府県97選挙区を上回る規模となる見通しだ。

政治家にとって区割り変更がもたらす最も大きな変化は、支援を訴える対象が変わることだ。29年衆院選で東京は25選挙区のうち21選挙区で区割りが変更され、有権者からこれまで支持してきた議員に投票できなくなることへの不満の声も上がった。

区割り見直しの根拠となる、人口比を正確に反映しやすい「アダムズ方式」の適用が続く場合、東京などでは今後も区割り変更が断続的に行われる可能性が高い。一票の格差是正は憲法に明記した「法の下の平等」確保のためだが、東京選出の衆院議員の関係者は「なぜ、ちょこちょこと区割りを変更するのか」と憤る。

公明党の石井啓一幹事長は7月16日の記者会見で「自民との調整が必要だが、選挙区の配分が増える地域は新たな議席に挑戦していきたい」と前向きな見解を示したが、地方の定数減への懸念は根強い。閣僚経験者は「地方や少数の意見が吸い上げられなくなると民主主義がおかしくなる。本末転倒だ」と話す。

自民は4項目の憲法改正イメージ案の中で、「人口比例のみを尺度として判断してよいのか否かが問われている」との問題意識から47条の改正案をまとめ、地方の声を国政に届ける必要性を訴えている。

昨年の国勢調査速報値が公表された6月25日、安倍晋三前首相は前橋市内で記者団に「(首都圏と地方との)バランスをどう考えるかも含め、例えばこの5年、10年のことではなく、先のことを考えながら議論しなければいけない」と語った。(今仲信博)