「地域限定」「二重構造」 パリ五輪で除外の野球、「金」が国内人気低迷の起爆剤になるか

【東京五輪2020 野球 決勝戦】<日本対アメリカ>表彰式に臨む日本の選手たち =7日、横浜スタジアム(川口良介撮影)
【東京五輪2020 野球 決勝戦】<日本対アメリカ>表彰式に臨む日本の選手たち =7日、横浜スタジアム(川口良介撮影)

野球日本代表が金メダルを獲得したが、球界にとっては手放しでは喜べない。3年後のパリ五輪では、ソフトボールとともに実施競技からの除外が決まっているからだ。再び五輪の舞台に復帰するのは容易ではない事情がある。

最大の要因は競技が盛んな地域が、北米や中南米、東アジアなどに限られている点だ。五輪開催のための球場整備はコスト面からも敬遠される。さらに、世界最高峰のリーグを統括する米大リーグ機構(MLB)と、国際競技団体の世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が存在する二重構造が問題を複雑にしている。

MLBは今回のように五輪への選手派遣に否定的で、2006年から世界一を決める国際大会としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を五輪とほぼ同じ間隔で開催する。五輪復帰を目指すWBSCとは隔たりがある。

日本は各国際大会にプロを派遣しているが、足元は揺れている。プロ野球中継は地上波からほぼ消滅。関係者は「国民的な大衆スポーツだった野球が、コアなファンしか取り込めなくなっている」と危機感を募らせる。

実際、競技人口は右肩下がりで、日本高野連によると、硬式野球の部員数はピークだった14年が約17万人だったのに対し、21年は約13万4千人。2割以上も減少した。

日本代表の稲葉篤紀監督は6月に代表メンバーを発表した際、金メダルを目標に掲げるとともに「競技者人口がどんどん減っている中で、少しでもこの五輪が、子供たちが野球を始めるきっかけになってくれれば」と力を込めた。その思いが実っての金メダル獲得を起爆剤にできるか。(田中充)

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