景気は東京五輪後も低空飛行か 「五輪の崖」話題にならず

国立競技場=7月23日午後、東京都渋谷区の渋谷スカイ(福島範和撮影)
国立競技場=7月23日午後、東京都渋谷区の渋谷スカイ(福島範和撮影)

東京五輪は8日閉幕するが、新型コロナウイルス禍の長期化で、平常時なら懸念される大会後の景気悪化「五輪の崖」が話題にもならないほど日本経済は既に落ち込んでいる。感染力が強いインド由来のデルタ株流行で年後半に期待されたワクチン普及に伴う消費の急反発も不透明になってきており、〝宴の後〟の余韻に浸る余裕もない状況だ。

五輪後不況は、大会に伴う競技場などのインフラ需要や消費活動の盛り上がりが閉幕後に収束することで生じる。昭和39年に開催された前回の東京五輪では大会後に深刻な不況に見舞われ、政府は経済対策のため40年に戦後初めての赤字国債発行に追い込まれた。最近は平成12年のシドニー五輪や16年のアテネ五輪でも大会後の景気が低迷した。

ただ、今回の東京五輪は東海道新幹線や首都高速道路など多くの交通インフラを整備した前回と比べ、インフラ面での景気押し上げ効果は限定的だった。大半の会場は無観客開催で、1千億円前後とも試算された開催中の観客の消費需要もほぼ消失。政府が「まったく経済効果は期待していない」(西村康稔経済再生担当相)というだけあって、反動を懸念するほど盛り上がらなかったのが実情だ。

日本経済は消費税増税とコロナ禍で令和元、2年度の2年連続でマイナス成長となり、そもそも発射台が低い。今後はコロナ復興に向けて、むしろ昨年の未曽有の落ち込みの反動増が出てくるタイミングで、今年10~12月期にも国内総生産(GDP)がコロナ前の水準に戻るとの指摘もある。

とはいえワクチン接種の遅れも重なり感染者数は連日のように過去最多を更新し、経済活動を本格的に再開するタイミングはみえない。五輪閉幕後の景気は、開幕前と変わらない低空飛行が続く可能性が高い。(田辺裕晶)

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