主張

 蔓防措置の追加 全国への適用を決断せよ

新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は首都圏や関西圏にとどまらず全国各地に急激に波及している。

政府は5日、蔓延(まんえん)防止等重点措置に8県の追加適用を決定したが、県知事からの要請、関係閣僚会議と専門家への諮問という手続きを踏む間にも事態は悪化した。

政府の意思決定が、デルタ株への置き換わりが進んだコロナウイルスの感染速度に追いつけない現実を直視しなければならない。

蔓延防止等重点措置の全国への適用を決断すべきである。

菅義偉首相は緊急事態宣言の全国への発令について「全国的にということは考えていない」と否定した。緊急事態は全国的な状況ではないとの認識だろう。だが、蔓延防止は全国的でかつ喫緊の課題であるという現状認識を政府として国民に示す必要がある。

現時点で緊急事態や蔓延防止の対象でない多くの県が、1日の感染者数が数十人規模で増加傾向にある。大都市圏からの人流制限だけでなく、地域内で感染を抑え込まなければならない。

これまでの蔓延防止の目安にとらわれ、状況がさらに悪化してからでは対策の効果は薄れコロナ危機は長期化する。感染拡大の初期段階であれば、地域を限定し強い措置を講じることで短期間で収束に向かう可能性はあるはずだ。

市町村単位で対象地域を絞れる蔓延防止等重点措置を機動的に運用することで、コロナ対策の初動を強化したい。状況によって緊急事態より強い措置を短期的に実施することも可能にすべきだ。

蔓延防止は全国一律の対策を行う必要はない。一方、生活圏が一体化している大都市圏では、都府県が違ってもコロナ対策を揃(そろ)えるべきである。

関西では現在、大阪府が緊急事態、京都府と兵庫県は蔓延防止の対象となっている。首都圏では東京都に緊急事態、神奈川、千葉、埼玉県に蔓延防止が出された状況で1都3県は急激な感染拡大に至った。同じ誤りを関西で繰り返すつもりなのか。

関西2府1県は直ちに、緊急事態に揃えるべきだ。

大都市圏を中心に、これまでのコロナ対策はことごとく後手に回ってきた。爆発的拡大と地方への波及に対し、同じ誤りを繰り返してはならない。その責任は、政府と専門家の分科会にある。