【チェックEYE】男子400リレー、閉塞感が生んだ焦り 末続慎吾氏

【東京五輪2020 陸上競技 男子4×100メートルリレー】〈決勝〉第1走者・多田修平(右)から第2走者・山県亮太へのリレー。バトンをつなぐことができなかった=6日、国立競技場(川口良介撮影)
【東京五輪2020 陸上競技 男子4×100メートルリレー】〈決勝〉第1走者・多田修平(右)から第2走者・山県亮太へのリレー。バトンをつなぐことができなかった=6日、国立競技場(川口良介撮影)

注目された6日の男子400メートルリレーは1走の多田から2走の山県にバトンがわたらず、途中棄権という残念な結果に終わった。選手からは「攻めのバトンの結果」という言葉も聞かれたが、僕は決勝は攻める気持ちだけあればいいと思っていた。バトンの技術面にこだわりすぎたのが裏目に出てしまったのかもしれない。

日本選手権で桐生が100メートルの代表を逃し、五輪の100メートルを走った多田、山県、小池の3人も予選敗退。今のメンバーはそうした閉塞(へいそく)感に慣れていなかった。そうした状況の中、自国開催でリレーへの期待が飛び交うストレスも重なり、最大のパフォーマンスを発揮できなかった。

ただ、期待というのは周囲が勝手にするものだからよくも悪くも裏切ってもいい。大事なのは、見ている人や戦っている相手に対し、勝負にこだわる姿勢を見せ続けていくこと。それが競技者としての信頼や強さにつながると思う。

日本の男子短距離界にとっては、今までにない経験をした。2016年リオデジャネイロ五輪以降、個々のパフォーマンスは確実に高まったのに、個人でもリレーでも勝負できなかった。短距離陣のこれまでのプロセスについても本質的な再考が必要になるだろう。選手たちは、すぐに気持ちを切り替えるのは難しい。今は少し心と体を休めて、また元気に走る姿を見せてほしい。(08年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリスト)