ロックダウン議論再燃 改憲議論に波及、首相は慎重

広島から帰京した菅義偉首相=6日午後、衆首相官邸(春名中撮影)
広島から帰京した菅義偉首相=6日午後、衆首相官邸(春名中撮影)

新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の効果が疑問視される中、地方や専門家から外出を厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)の導入を検討すべきだとの声が相次いでいる。緊急時に一定の私権制限を可能とする緊急事態条項の新設など憲法改正の動きに波及する可能性があり、ロックダウンに消極的な菅義偉(すが・よしひで)首相の対応が注目される。

全国知事会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)は6日、西村康稔経済再生担当相とのオンライン会談で「日本版のロックダウン制度などについても、今すぐは難しいかもしれないが、ぜひ立法府とともに検討に入ってほしい」と要請した。

政府はこれまで緊急事態宣言を切り札に感染の収束を目指してきたが、コロナとの戦いは長期化。国民の自発的な協力に期待することへの限界が指摘されており、知事会は1日にはロックダウンの検討を求める緊急提言も発表していた。

危機感は専門家も共有している。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は5日、記者団に「ロックダウンみたいなことを法制化してくださいというようなことさえ、議論をしてもらわなければいけないことになる」と述べた。

ただ、政府は慎重姿勢を崩していない。

飯泉氏に対して西村氏は「コロナ特措法の付帯決議にも必要な見直しを行っていくとある。不断の検討を行っていきたい」と応じたが、菅首相は7月30日の記者会見で「日本でロックダウンという手法はなじまない」と断言。諸外国のロックダウンが収束に寄与していないとも強調し、ワクチン接種を急ぐ考えを示した。

とはいえ、実際に導入するかはともかく、選択肢を残しておくべきだとの声は根強い。自民重鎮は「首相はなぜ早々とロックダウンを否定するのか。国家の危機管理としてあらゆる可能性を追求しなければならない」と語気を強める。

一方、私権制限の色合いが濃いロックダウンの法整備には改憲も必要との声が少なくない。自民は改憲項目として緊急事態条項の新設などを重視してきたが、下村博文政調会長は2日、記者団に「(緊急事態条項の対象に)感染症のパンデミック(世界的大流行)も入れるべきだと主張してきた。衆院選でしっかりと訴えていくべきだ」と述べた。ロックダウンをめぐる動きが、改憲論議の活性化に波及するのかも焦点となる。(内藤慎二)