埼玉県の大野元裕知事は6日の記者会見で、新型コロナウイルス患者の入院に関し、県独自の基準で症状や基礎疾患などを点数化して人数を絞り込む方式を導入すると表明した。感染急拡大によって医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している状況を踏まえ、医療機関の負担軽減を図る。
県によると、5日時点の県内の確保病床1678床に対する入院者数は1007人で、病床使用率は6割を超えている。7月半ばごろは3割程度だったが、数週間で急激に悪化した。
点数化による入院患者の絞り込みは、「37・5度以上の発熱が6日以上続く(6点)」「強い倦怠(けんたい)感(2点)」などの症状についての項目や、基礎疾患に関する「透析(7点)」「肥満(2点)」といった項目を計約20設けた「リスク表」に基づいて行い、合計が6点以上となった患者を優先して入院させる。ただ、医師の判断によっては点数に関係なく入院対象とするケースもあるとしている。
県は5月の新型コロナウイルス対策本部会議で、病床使用率が6割以上となった場合に独自基準を導入すると決めていた。
大野知事は記者会見で「入院が必要な人に確実に入院してもらう。医療機関の負担も下げたい。独自基準なら、症状だけでなく既往症なども含めて全体的に判断できる」と強調した。
県内の1日当たりの新規感染判明者は、7月上旬はおおむね100人台で推移していたが、中旬から下旬にかけて著しい増加に転じた。8月3日以降は4日連続で1千人を上回っている。(中村智隆)