「怪物」張本が卓球で念願のメダル 故郷の復興願い

【東京五輪2020 卓球男子団体】<3位決定戦 日本対韓国>第2試合に臨む張本智和=6日、東京体育館(桐山弘太撮影)
【東京五輪2020 卓球男子団体】<3位決定戦 日本対韓国>第2試合に臨む張本智和=6日、東京体育館(桐山弘太撮影)

東京五輪の卓球男子団体3位決定戦で6日、日本は韓国を3―1で下し、銅メダルに輝いた。「100年に1人の逸材」「怪物」の異名を持つ張本智和(18)は、この日も第2試合のシングルスで勝利し、エースの維持を見せつけた。

メダルに王手がかかった第4試合。水谷隼(32)がシングルスでストレート勝ちを収めた瞬間、誰よりも早くベンチを駆け出した張本は、両手を上げて歓喜する水谷の腰に固く抱き付き、喜びを分かち合った。

世界の高い壁に果敢に立ち向かい、丹羽孝希(26)、水谷とともに、2大会連続の表彰台を死守。「水谷さんがいての日本男子チーム。最後、決めてくれると信じていた」。そして、「初めてのメダル。やっと世界のスタートラインに立てた」。五輪の舞台で成長した。

男子の日本卓球史上最年少で五輪に出場した張本は、中国四川省出身の両親を持つ。コーチとして来日した父親の宇(ゆ)さん(51)は元選手、母親の凌(りん)さん(48)も元世界選手権代表の卓球一家だ。2歳から卓球を始め、5歳の誕生日会では「卓球選手になりたい」と宣言したという。

仙台市立東宮城野小1年生のときに東日本大震災が発生、被災した。自身と家族は無事だったが、同小からわずか約6キロの距離にあった荒浜地区は、津波で180人以上が犠牲になった。「自分でもおかしくなかった」。震災は張本の人生に大きな影響をもたらした。

その翌年、ロンドン五輪女子団体で銀メダルをとった同市出身の福原愛さん(32)が同小を訪問。つらい日々が続く中、初めて触れた五輪メダルに励まされた。「メダルを取りたい」。そう強く思った。

その後は破竹の勢いでトップ選手の仲間入りを果たす。小学1~6年に各年代別の全国大会を6連覇。「もっと活躍の場を広げたい」と、26年には日本国籍を取得した。

震災から10年。当時7歳だった卓球少年は、日本が誇るエースへと成長した。「息子は東北出身の自分が活躍して被災された方々に笑顔を届けられたらいいと思っている」と凌さん。

震災を忘れない、そして忘れてほしくない。日本代表として、一人の被災者として復興五輪の舞台に立つ意味をかみ締めた。(王美慧)

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