空手の喜友名、圧倒的な演武で金メダル - 産経ニュース

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空手の喜友名、圧倒的な演武で金メダル

男子形決勝 喜友名諒の演武=日本武道館
男子形決勝 喜友名諒の演武=日本武道館

力強い突きと蹴りが静寂を切り裂いた。空手の男子形の喜友名諒が「金メダルに最も近い男」との前評判通りの演武で頂点へたどりついた。「ここまで支えてくれた方々に感謝の気持ちでいっぱい」。勝ち誇ることなく、静かな口調で語った。

圧倒的な実力で空手界を震撼(しんかん)させてきた。2018年2月を最後に国際大会で無敗を誇り、世界選手権は3連覇中。「空手界の大きな一歩」と位置付けた東京五輪へ無敵で突き進んだ。この日の本番も予選から高得点を連発した。

発祥地の沖縄で5歳から空手を始めた。中学3年で劉衛流龍鳳会の佐久本嗣男会長に師事。国内無敗の男も14年に世界選手権を制するまでは世界で勝てない時期が続き、「なぜ優勝できないのか」と悩める稽古の日々を過ごした。「粘りや柔らかさを表現しなさい」。元世界王者でもある師匠の教えを胸に、我慢強く鍛錬を積み重ねた。

劉衛流は豪快で力強い形が多い。走り込みで培ったたくましい大腿(だいたい)部に象徴される下半身が土台を支え、琉球舞踊から学んだ身のこなしや目線の使い方が「奥深さ」を加えた。力強く、緩急も効いた演武は他の追随を許さず、決勝の雄姿をコーチ席から見届けた佐久本会長も「満点をつけたい」と絶賛したほどだ。

日本空手界で初、そして沖縄出身でも初めてとなる金メダルをもたらした王者は決勝後、コートの中心へ戻り、その場に正座をして深々と一礼した。一昨年2月に他界した母に優勝を報告するためだった。「約束を守ったよ」。目頭を押さえた。(田中充)

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