「黒い雨」原告が平和記念式典に被爆者として参列 菅首相に早期救済要望

被爆者健康手帳を手に平和記念式典に参列した高野正明さん(右)と高東征二さん=6日午前、広島市中区の平和記念公園
被爆者健康手帳を手に平和記念式典に参列した高野正明さん(右)と高東征二さん=6日午前、広島市中区の平和記念公園

原爆投下から76年を迎えた広島市の平和記念公園で6日に開かれた平和記念式典には、原爆投下直後に降った「黒い雨」をめぐる訴訟で、原告団長として戦った高野正明さん(83)=広島市佐伯区=らも参列した。参列自体は昨年に続き2回目だが、84人の原告全員への被爆者健康手帳の交付を命じた広島高裁判決が、実質的な被告である国の上告断念で7月に確定。被爆者として初めての参列となり、菅義偉首相とも言葉を交わした。

原告団から式典に参列したのは高野さんと高東征二さん(80)=同区=の2人。高野さんによると、式典直前に広島市の小池信之副市長から、菅首相の車が到着する付近へ促されたという。

菅首相とは会話を交わす段取りには当初なっていなかったが、高野さんは「菅首相が立ち止まってくれたので(上告しなかったことへの)ご英断の感謝を伝え、原告以外の救済も速やかにされるよう述べさせてもらった」。1、2分程度言葉を交わし、高東さんは「(菅首相は)自ら『(原告以外の黒い雨被害者へ)早急に手帳を渡すようにする』と言ってくれた。すごい前進だと思った」と喜んだ。首相は「長い間ご苦労をお掛けしました」とも述べた。

高東さんは式典での1分間の黙禱(もくとう)の間、「苦しみながら死んでいき、まだ報われていない友達のことがよみがえってきた」という。高野さんは被爆者健康手帳を胸に「被爆の生き証人として重く受け止めている。命のある限り被爆の実相を伝えていくことが私の責務」と改めて平和への思いを強くしていた。