習氏、20億回分のワクチン供与の意向 影響力狙う

中国の習近平国家主席=7月、北京(AP)
中国の習近平国家主席=7月、北京(AP)

【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は5日、オンライン形式で開いた新型コロナウイルスに関する国際フォーラムで、今年中に世界に対して20億回分のワクチンを提供することを明らかにした。ワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」に1億ドル(約109億円)を供与することを決めたことも表明。ワクチン支援を通じて国際的な影響力を拡大させる考えとみられる。

フォーラムは、王毅(おう・き)国務委員兼外相が主宰して開いた。国営新華社通信によると、習氏は書面あいさつで「特に広範な発展途上国にワクチンを提供してきた」と貢献を強調した。

一方、新型コロナを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」策を進めてきた中国で、市中感染者の確認が相次いでいる。感染力が強いインド由来の変異株(デルタ株)の影響とされ、全土に31ある省・自治区・直轄市のうち少なくとも17で感染が確認された。

国家衛生健康委員会の5日の発表によると、4日に判明した新たな市中感染者は無症状者も含め全土で94人。南京市を中心にデルタ株感染が拡大している江蘇省のほかにも、湖南省、北京市、河南省など幅広い地域で確認されており、緊張が一気に高まっている。

南京市や、劇場での集団感染が発覚した湖南省張家界市などでは全市民を対象にPCR検査が行われ、携帯電話の移動履歴を使った濃厚接触者の割り出しも実施。水際対策も強化しており、国家移民管理局は7月末に「不要不急の出国」では新規のパスポートを発行しないと表明した。

北京市では一部エリアが封鎖された。感染確認地域から北京に戻った市民が、2週間の隔離措置を求められるなどしている。感染者が出ている都市から北京市に入る鉄道の乗車券も販売停止となった。

約14億人の人口を抱える中国では、ワクチン接種回数が17億回を超えた。中国製ワクチンは欧米製ワクチンと比べ効果が弱いという指摘もあるが、中国メディアは「デルタ株にも有効だ」と主張している。