ボクシング「銅」の田中、「自分との闘いには勝った」

ボクシング男子フライ級準決勝でフィリピンのパーラムに負け、引き揚げる田中亮明=5日、両国国技館(納冨康撮影)
ボクシング男子フライ級準決勝でフィリピンのパーラムに負け、引き揚げる田中亮明=5日、両国国技館(納冨康撮影)

5日に行われたボクシング男子フライ級準決勝で、田中亮明はフィリピン選手、パーラムに敗れた。3位決定戦はなく、銅メダルを獲得した。

試合後、取材エリアでマイクの前に立つ田中の後ろをパーラムが通りかかった。笑顔の勝者からいきなり首筋にキスをされ、銅メダリストは苦笑い。「あいつ倒したかったけど、うまかったっすね。今回はそれだけ」。さばさばした表情で敗北を受け入れた。

果敢に前に出るスタイルをこの日も貫いたが、パーラムに何度も顔面をとらえられた。大差をつけられて迎えた最終ラウンドは、1分過ぎに右フックを浴びてよろめく場面も。「試合の反省はない。今大会は一歩も引かないと決めて闘い切れた。自分との闘いに勝ち、気分も悪くない」。

開催国枠の恩恵を受けて五輪初出場を果たした27歳が、1回戦から3試合続けて2016年リオデジャネイロ五輪メダリストを破り、男子フライ級では日本勢61年ぶりのメダルを獲得する快進撃。駒大時代から指導する日本代表の小山田コーチも「ここまでよくやった。そのひと言」と涙ぐんだ。

「最高の気分を味わうことができたのも五輪があったから」。大会関係者や支援者らへの感謝を何度も口にし、去就については「ちょっと休んで、やりたくなったらやるし、やめたくなったら誰にも言わずにやめます」と話した。(奥村信哉)

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