競歩ニッポン、新たなお家芸へ 万全の暑熱対策で複数メダル目指す

練習で汗を流す競歩日本代表の(手前から)川野将虎、山西利和、高橋英輝=7月24日、北海道千歳市(代表撮影)
練習で汗を流す競歩日本代表の(手前から)川野将虎、山西利和、高橋英輝=7月24日、北海道千歳市(代表撮影)

東京五輪で日本の新たなお家芸として期待がかかるのが、陸上の競歩だ。男女3種目が5日と6日に札幌市中心部にある大通公園発着のコースで行われる。2019年世界選手権(ドーハ)では男子20キロの山西利和(25)=愛知製鋼=と男子50キロの鈴木雄介(33)=富士通=の2人が金メダルを獲得。日本陸上競技連盟の今村文男五輪強化コーチは「今までの国際大会の実績やレースの対応力を考えると、複数メダル獲得は可能」と見込んでいる。

日本の競歩は近年、めざましい成長を続けてきた。15年に男子20キロで鈴木が世界記録を樹立し、同年の世界選手権(北京)の男子50キロで谷井孝行(自衛隊)が銅メダル。翌16年リオデジャネイロ五輪の男子50キロで荒井広宙(当時自衛隊)が日本の競歩で五輪初となる銅メダルを獲得。荒井は17年世界選手権(ロンドン)でも銀を獲得し、19年世界選手権で金2個という最高の結果につながった。

高温多湿のドーハで開催された19年世界選手権ではマラソンと競歩で途中棄権が続出。レース時間が4時間近くに及ぶ男子50キロでは出場46人中、完歩者が28人という過酷なレースとなり、東京五輪のマラソンと競歩が札幌開催に移る大きな要因にもなった。

その中で日本勢が力を発揮できたのは、継続して取り組んできた暑熱対策にある。所属先の垣根を越え、チームとして情報を共有。強化合宿などを通じ、選手一人一人の練習の前後の体重の変化から発汗量や汗の成分を調べ、適切な給水量を判断。体の奥の「深部体温」を測定し、体温が上昇しないよう、レース前の冷却についても首や手のひらなど選手に合ったものを細かく気配りしている。

男子20キロ代表の高橋英輝(28)=富士通=は「ドーハでは水をかけすぎて、寒くなって倒れた選手がいた。掛け水は気温を気にしながらやっている」と話し、山西も「どんな天候になっても対応できる下地はできている」と自信をのぞかせる。

札幌市では連日、最高気温が30度を超える真夏日が続いている。競歩はいずれも早朝や夕方にスタートするが、今村コーチは「夕方は空気の熱伝導もあって、風の熱が冷めにくい。その中で体を冷やす方法をしっかりと準備している」と強調する。50キロ代表だった鈴木はコンディション不良で出場辞退となったが、メダルや入賞が狙える位置にいる選手は多い。目標とする複数メダルを獲得できれば、競歩ニッポンの新たな歴史が刻まれる。(丸山和郎)

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