東京都、自宅療養 往診拡充急ぐ 医療者の確保難航

8月に行われたモニタリング会議=東京都庁
8月に行われたモニタリング会議=東京都庁

新型コロナウイルス患者の入院要件を厳格化した政府方針を受けて、東京都は5日、自宅療養者のケアに関する対応強化策を明らかにした。地域の医師会と協力して往診を拡充するほか、健康相談に応じる都のコールセンターを増員する。ただ現時点で必要な医療スタッフ確保のめどは立っておらず、実効性には不透明な部分も残っている。

都によると、入院と自宅療養の線引きに明確な指標は設けない。発熱や呼吸器症状など患者の状態を医師が診察したうえで判断する。この点は従来と変わらず、「これまで入院していたレベルの患者が急に自宅で療養するということにはならない」(都担当者)。

5日の都のモニタリング会議に有識者として参加した都医師会の猪口正孝副会長は入院の判断に関し「単純ないくつかの指標で仕分けすることはできない。医師が患者の全身状態を見て決めていく」と強調した。

ただ、病床の回転率を高めるため、回復後の患者は医師の判断で早期に退院させ、自宅療養に移行させるという。家庭内感染の恐れがある場合などを除き、自宅療養が基本になるため、現在1万5千人いる自宅療養者の増加が見込まれる。加えて入院先を調整中など実質的な自宅療養者も千人単位に上る。

専門家が「軽症でも症状が一気に悪化して重症化する。このスピードが新型コロナの特徴」と語るように、今後の課題は、自宅療養者に対するこまめな健康観察だ。

都は健康相談にあたるコールセンターの人員を80人から120人に増やし、血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの配布対象も広げる。猪口氏は「血中酸素飽和度が93~96%になったら呼吸が苦しく、入院レベルだ」と指摘する。

地域の医師会に要請し、往診やオンライン診療も強化する方針だ。だが、現時点で都は必要な医療スタッフの人数を算出できておらず、確保のめども立っていない。担当者は実施の時期は明示せず「なるべく早期に」と繰り返した。

都は宿泊療養施設の一部に酸素濃縮器を配備し、継続的な往診体制を整えるなど「準病院化」も並行して進める。基礎疾患がある軽症患者を受け入れることで、病床逼迫(ひっぱく)を緩和する狙いがある。

都内のある保健所の担当者は「現状、症状の重い中等症では入院できない。重症化してやっと入院できる」とギリギリの実態を明かす。感染第4波の際、大阪府では医療崩壊が起き入院待機中の死亡が相次いだ。こうした事態を避けるため、小池百合子知事は「限られた医療資源を最大限活用するための策だ」と理解を求める。(大森貴弘)