信号柱倒壊 捜査線上に浮かんだまさかの〝犯人〟

高橋さんが明かす。「比較的、イヌを連れた方が通る場所であることが分かった。散歩コースなのかどうかは分からなかったが…」

こんな「状況証拠」もある。倒壊後、現場には信号柱が新設された。それに対し、散歩中の複数の犬が放尿。警察官もこの光景を目撃し、現場を鑑定したところ、新たに尿素が検出されたという。

こうした複数の事実関係から、おおむね原因が推測できた。イヌの尿が繰り返しかけられたことで信号柱の根元で腐食が進行し、倒壊に至った可能性が高い―。それが県警の結論だった。

三重県鈴鹿市の交差点で倒れた歩行者用信号柱=2月(三重県警提供)
三重県鈴鹿市の交差点で倒れた歩行者用信号柱=2月(三重県警提供)

少量の尿だとしても、繰り返し同じ場所にかけられれば、大きなダメージにつながる。高橋さんは、飼い主にマナー向上を呼びかけた上で、「公共物への排尿が大きな影響を与えるということを分かっていただきたい」と力を込める。

求められる工夫

マーキングと呼ばれるこうした行為には、イヌが自分の縄張りを主張する目的があるとされる。

「三重県の事案はとても残念だ」。日本動物病院協会(東京)理事で獣医師の吉田尚子さんはこう述べる一方、「マーキングしてしまうイヌのほとんどが、去勢手術をしていないオスだ」と指摘する。

吉田さんによると、手術をしている個体ではマーキングの回数が大幅に少なくなる。我慢させても、イヌにとって大きなストレスにはならないという。

ただ、手術を受けたとしても、時期や個体差などでマーキングの習性が残る場合もある。「外で排尿する際には金属を避けたり、ペットシートで拭くなどしてほしい」とする。

散歩中の排泄(はいせつ)をやめさせるポイントは、根気強いしつけや、家で排泄を済ませてから散歩に出るといった工夫だ。ペースを作れば、外でマーキングの姿勢をとっても排泄自体はあまりしなくなるといい、個々のイヌに合った対応が必要になりそうだ。(花輪理徳、細田裕也)