入江に続けず…並木、悔しさにじむ「銅」 ボクシング女子

女子フライ級準決勝で敗れ、コーチに慰められる並木月海=両国国技館
女子フライ級準決勝で敗れ、コーチに慰められる並木月海=両国国技館

ボクシング女子フライ級準決勝を終えた並木月海(自衛隊)は、目を真っ赤にして取材エリアに現れた。「悔しいっていう気持ちが大きい。1番いい色のメダルを取りたかった」。フェザー級の入江聖奈(日体大)に続く金メダルを狙ったが、バンタム級で世界選手権2大会連続準優勝の実績を持つクラステバ(ブルガリア)に決勝進出を阻まれた。

身長153センチの小柄な22歳のサウスポーは細かくステップを刻み、相手の懐に跳び込んでパンチを繰り出す算段だった。だが身長とリーチで大きく上回る35歳のベテランはそれを許さない。攻めこまれると長い腕を伸ばしてクリンチに逃れ、時には並木が投げ技を掛けられたかのようにリングにあおむけになる場面もあった。

互いに見せ場が限られる中、クラステバは有効打を確実にジャッジに印象付け、1回は5人中4人から支持を得た。過去3試合とも最初のラウンドを制した並木には大きな誤算で、「そこでテンポが崩れた」。懸命に足を動かすも形勢を立て直せず、2、3回は5人全員が相手を支持する完敗となった。

幼稚園で空手、小学3年からはキックボクシングを習い、中学入学を機に格闘技から離れたが、「物足りないな」と感じて中学2年からボクシングジムに通い始めた。入江同様、女子の日本勢として初めて出場した五輪でのメダル獲得は十分な偉業だが、五輪への挑戦は東京を最後にするという決意は揺らいでいる。「もっと努力したら金メダルを取れるかな。…1回落ち着いて考えたい」。悩ましそうに話した。(奥村信哉)

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