リオで吉田沙保里に勝った難敵撃破 川井梨紗子が決勝進出

女子57キロ級準決勝で米国のヘレン・マルーリス(左)と対戦する川井梨紗子=幕張メッセ
女子57キロ級準決勝で米国のヘレン・マルーリス(左)と対戦する川井梨紗子=幕張メッセ

4日行われたレスリング女子57キロ級で、2016年リオデジャネイロ五輪63キロ級金メダリストの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が2試合を勝って迎えた準決勝でリオ五輪53キロ級女王のマルーリス(米国)を2―1で下し、5日の決勝に進んだ。

「接戦になったけど、自分の中での感覚は初戦からの3試合の中で一番よかった」。準決勝を競り勝った女子57キロ級の川井梨がうなずいた。相手は5年前のリオ五輪で吉田沙保里の4連覇を阻んだマルーリス。低く鋭いタックルは不発だったが、終盤の反撃をしのいだ。1点差を守り抜き、五輪金メダリスト対決を制した。

コロナ禍で、実戦は2020年2月以来。3日に62キロ級で決勝へ勝ち上がった妹の友香子からバトンを受けた。「強かった。自分もやるしかない」と負けるわけにいかなかった。決勝進出を決め、姉妹での五輪メダルが確定。「昨日は背中を押してもらい、きょうは後押しすることができた」とその後に決勝へ挑む妹に夢へのバトンを返した。

リオ五輪は4連覇した伊調馨の58キロ級を避け、63キロ級で金メダルに輝いた。17年の全日本選手権で、姉妹同時に優勝すると「2人で東京五輪金メダル」の夢が膨らんだ。友香子は62キロ級で、自らは57キロ級で伊調との激しい争いを制した。

両親が元選手というレスリング一家に生まれ、小学2年から地元の金沢で母、初江さんの指導で競技を始めた。強豪の至学館で高校、大学と鍛え、背中を追ってきた友香子と苦楽を共にした。コロナ禍の日々もほぼ毎日、一緒にトレーニングを続けてきた。

活発な姉に対し、おとなしいタイプの友香子。五輪開催に暗雲が漂う中、どちらかが「本当にあるのかな」と不安になっても、「練習をやるしかないよ」と励まし合った。川井梨は「二人で代表だからこそ分かり合えた」と明かす。

5日の決勝に勝てば、自身は五輪2連覇。「良いことも悪いことも、全てがこの日のためにあると思って戦っている」。頂点まであと1勝だ。(田中充)

会員限定記事会員サービス詳細