無観客のスタンドから

新国立は小さな「地球」

【東京五輪2020 陸上競技】大会も中盤にさしかかり、陸上競技がスタートした=7月30日、国立競技場(桐山弘太撮影)
【東京五輪2020 陸上競技】大会も中盤にさしかかり、陸上競技がスタートした=7月30日、国立競技場(桐山弘太撮影)

五輪後半のハイライトといえば、陸上競技。より速く、より高く、より遠くへと人類の限界に挑む選手たちの姿は、鍛え抜かれた体も相まって、野生動物のような美しさを感じさせる。

他の五輪競技との差は色々あるが、何と言ってもメディアの数が違う。

国立競技場(東京都新宿区)の記者席に設置されたモニターは、観戦リポートなどを書く「ペン記者」の分だけでも軽く200台以上。砲列のように並んだカメラが選手の一挙手一投足を追う。歓声のない分、「カシャ、カシャ」というシャッター音がやけに大きく響いた。

せみ時雨がうっすらと聞こえ、気温は30度を優に超える。見ているだけで汗が噴き出すほど湿度も高く、選手がしのぎを削るトラックやフィールドはさらに蒸し暑いだろう。酷暑に加えて無観客の影響もあり、今大会は記録面で低調になることが予想されていた。

ところが、1日には女子三段跳びで金メダルを獲得したユリマル・ロハス(25)=ベネズエラ=の記録は15メートル67センチで、26年ぶりに世界新記録を更新。

3日に行われた男子400メートル障害では、金メダルのカルステン・ワーホルム(25)=ノルウェー=が45秒94で駆け抜け、自身の持つ世界記録を0秒76も縮める瞬間を目撃した。

銀メダルのライ・ベンジャミン(24)=米国=も46秒17で従来の世界記録を上回り、悪条件を吹き飛ばす圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。

イタリア、ドイツ、カタール、リベリア、ジャマイカ、ノルウェー…。会場内ですれ違った各国選手団は、顔も体格も肌の色もさまざま。木材がふんだんに使われ、木のぬくもりが感じられる新しい国立競技場が、まるで「小さな地球」のような空間に感じた。(原川真太郎)

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