オリンピックは私たちにさまざまなことを教えてくれる。開催中の東京五輪では、NHKが開会式の生中継の中で、イラン選手の入場行進を紹介した際、「アラブ諸国」と言い間違うミスをしたことが話題になった。筆者は大学の講義で「イランはアラブ諸国ではない」と学生に教えていることもあり、あ、やってしまったなと思った。日本とゆかりが深い国や地域のことでも意外に知らないことが少なくない。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中で行われた東京五輪・パラリンピックの評価について、その歴史的な意義は後の時代の評価を受けることもあろう。本稿では近代オリンピックの宗教的な背景や起源などを含め、五輪の意義について考えてみたい。