〝型破り解説〟瀬尻さんが語るスケボー日本勢躍進

五輪のスケートボード解説で話題になったスケーターの瀬尻稜さん=3日午後、東京・大手町(飯田英男撮影)
五輪のスケートボード解説で話題になったスケーターの瀬尻稜さん=3日午後、東京・大手町(飯田英男撮影)

男女のストリートに続き、4日の女子パークでも日本人金メダリストが誕生した五輪新競技のスケートボード。日本勢躍進の背景には、トリック(技)の豊富さと、それを支える繊細で高度な技術があった。テレビ中継での型破りな解説が話題になったプロスケーターの瀬尻稜さん(24)は「シンプルだけど、本番で自分の技を成功させられるかが大事。勝負強さもあった」とたたえた。

4日の女子パークで、初代五輪女王に輝いた四十住(よそずみ)さくら(19)。1本目に、ジャンプしながら1回転半する「540(ファイブフォーティー)」の大技を連発したことが決め手となり、瀬尻さんも「得点の出る独創性のある技が見られた」と手放しで喜ぶ。

7月25日の男子ストリートで金メダルをつかんだ堀米雄斗(22)も「雄斗にしかできない表現」を披露し、「日本勢の緻密な動きがミスを少なく抑え、良い結果につながった」(瀬尻さん)。ここまで金3銀1銅1のメダルラッシュは「数年前では考えられなかった」とも打ち明けた。

米国西海岸が発祥のスケボーの勢力図は、米国勢を中心に回ってきた。男子ストリート世界ランキング1位のナイジャ・ヒューストン(26)も米国代表だ。瀬尻さんによると、海外選手がスピーディーで派手な技を好むのに対し、日本選手はテクニカルで細かい動きが得意だという。

国内でもスケートパークの整備が進むが、競技環境は決して良くない。そんな中で、「日本選手は熱心に練習してきたのでしょう。上達には滑りまくるしかない」と瀬尻さんは評価する。

女子ストリートで金メダルの西矢椛(もみじ)(13)、女子パークで銀メダルだった開心那(ひらきここな)(12)のように、10代の活躍が目立つのは「体力的にきつく、けがも多い。若い方が回復が早く、演技に勢いもある」。体格差が不利に働かないのも、小柄な日本人には好材料。1970~80年代のスケボーブームの子供世代が台頭してきたとの見方もある。

東京特有の猛暑や無観客開催が結果に影響した可能性もあり、瀬尻さんは「技が決まったときの声援をモチベーションにしている選手は多い」と指摘する。

一方、会員制交流サイト(SNS)などで話題となったのが、独特な用語を駆使した瀬尻さんの解説だ。ハイレベルな技が決まったときには「鬼ヤベエ」、ボードの車輪が手すりなどの障害にぴったりはまったときには「ビッタビタ」、リスクを冒して強気に攻めたときには「ゴン攻め」という言葉が飛び出した。

リハーサル段階で普段通りの言葉を使うことを決めたといい、「スケボーを知らない人は、どこがすごいか分からない。自分の反応で分かってほしい」との思いを込めた。「ヤバかったんで『ヤベエ』って言っただけ」と笑う。

日本選手の活躍を機に、盛り上がりを見せる国内のスケボー業界。これから競技を始めようとしている人に向け、瀬尻さんは「最初から派手な技ではなく、平らな所を滑ることから始めると間違いないっす。ゴン攻めしすぎると骨折しますよ」とアドバイスを送った。(永井大輔)

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