川井友香子、姉妹で金へ ひと足早く歓喜の頂点

レスリング女子62キロ級で金メダルを獲得した川井友香子=4日、幕張メッセ(納冨康撮影)
レスリング女子62キロ級で金メダルを獲得した川井友香子=4日、幕張メッセ(納冨康撮影)

4日行われたレスリング女子62キロ級で初出場の川井友香子(ジャパンビバレッジ)が決勝で2019年世界選手権優勝のティニベコワ(キルギス)を4―3で破り、今大会の日本勢で初の金メダルを獲得。「言葉にできないくらいうれしい。最高の一日になった」。両手でガッツポーズすると、マット上で歓喜の瞬間に酔いしれた。

反撃は1点を追う第1ピリオド終盤だった。2019年世界選手権覇者のティニベコワの左足を鋭いタックルから持ち上げると、マットへ倒して2-1と逆転に成功した。第2ピリオドも相手のタックルを封じ、カウンター攻撃で2点を追加。最後は相手の猛攻に耐えて逃げ切った。この日、57キロ級決勝に勝ち進んだ姉の梨紗子の前で、東京五輪での「姉妹で金メダル」の夢に王手をかけた勝利だった。

コロナ禍の影響で、実戦は20年2月のアジア選手権以来だった。その間に取り組んだのが組み手の強化。ヒントを得たのは姉のレスリング。低く鋭いタックルに入る「その前の組み手が大事」と気付いた。この日のタックル前の攻防にも生きた。

さらに「押されて場外に出されることが多かった」と課題だったフィジカル強化にも励んだ。3位だった2年前の世界選手権のときと比べても見た目の筋肉は明らかに大きくなった。

活発な梨紗子に対して、おとなしいイメージが先行するが、負けず嫌いな一面もある。5年前のリオデジャネイロ五輪で梨紗子が金メダルを獲得。「一番近い存在なのに、どんどん離れていく。いつか追いつきたい」と胸に誓った。

8年前に東京五輪招致が決まったときには無縁の大会だと思っていた。地道な努力を積み重ね、姉よりひと足早く金メダルを首からかけた。5日は姉の決勝。「今までたくさん支えてもらった。あしたは梨紗子が金メダルを取れるようにサポートする」。あと一日、〝闘い〟が残っている。(田中充)

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