酒屋の倉庫で練習 スケボー四十住さくら、咲いたメダル

女子パーク予選 演技する四十住さくら=有明アーバンスポーツパーク
女子パーク予選 演技する四十住さくら=有明アーバンスポーツパーク

またも10代がメダルに輝いた。スケートボード女子パークの決勝で4日、19歳の四十住(よそずみ)さくらが金メダル、12歳の開心那(ひらき・ここな)も銀メダルを獲得した。女子ストリートの金、銅に続いた。

地元・和歌山の酒蔵で鍛えた四十住のトリック(技)が東京の空で花開いた。「(ストリートで)日本人が金メダルを男子も女子も取って、私も負けないで取りたいという気持ちがあった」。笑顔で輝くメダルを手にした19歳の言葉の裏に、覚悟がにじんだ。

競技にのめり込んでいったのは小学6年の時。毎日、技を磨いたのは両親が庭に手作りした練習場だ。上達すると、今度は神戸市にある練習施設へ、母親の車で往復3時間かけて毎日のように通った。2018年には日本選手権、アジア大会、世界選手権と主要大会を制し、第一人者に上り詰めた。

だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、練習施設での時間の確保に苦慮するようになった。

地元の老舗酒屋が手を差し伸べてくれたのは、そんなときだった。

「練習できずに大変だろうと思った。応援したかった」。和歌山県岩出市の老舗酒造会社「吉村秀雄商店」の安村勝彦社長(65)は振り返る。

昨年春、安村さんはかつて精米工場として利用していた大型倉庫を無償提供。同10月にスケートボードの練習場に生まれ変わらせた。

自宅から車で10分の場所に完成した練習拠点の名称は、四十住の名前にちなんで「さくらパーク」。練習を重ね、五輪に備えた。

開幕前、「金メダルに向かって全力で楽しみたい」と約束した通りの結果。

安村さんは「今までにない興奮を味わえた。季節は夏だが〝サクラ〟満開にしてくれた。私も今夜はうまい酒が飲めます」と蔵元らしい言葉で喜んだ。

「めっちゃうれしいです」。試合後、開と抱き合った四十住の目には、うれし涙がにじんでいた。(山田淳史)

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