「良くも悪くも忘れられない」若きクライマー原田、涙の幕切れ

男子複合予選のリードに臨む原田海=8月3日、青海アーバンスポーツパーク
男子複合予選のリードに臨む原田海=8月3日、青海アーバンスポーツパーク

新種目で表彰台を狙った若きクライマーの挑戦は、涙の幕切れとなった。3日、スポーツクライミング男子予選に臨んだ原田海(22)は、思うように得点を伸ばせず敗退。「今までで一番最悪だった。悔しいというか、もう自分にあきれた感じはした」。ボルダリングの2018年世界王者は失意に暮れた。

スポーツクライミングを始めたのは小学5年のとき。当時は競技人口が少なく、足を運んだ地元の大阪府岸和田市にあるジムも、周りは大人ばかりだった。

同じジムに通い、現在はフリークライミングジム「ステラ」(大阪府泉大津市)の代表を務める宇野鋭気さん(38)は、当時の原田をよく覚えている。「設備も大人用で、子供向けのメニューがあるわけでもない。それでも毎日のように学校が終わるとジムに来ていた」。コース自体も古かった。原田は「つるつるのホールド(岩を模した突起)ばかり登っていた」と振り返るが、こうした環境でつかむ力が自然に備わった。

ジムに通う大人たちはよき先生役だった。「弟みたいな感じで接していた」(宇野さん)といい、同じトレーニングメニューに挑んだり、周囲の助言を吸収したりしながら成長していった。

そんな少年は国内外の試合で腕を磨き、世界トップクラスのクライマーへと飛躍した。高校卒業後は関東に拠点を移し、18年には得意種目のボルダリングで世界選手権優勝。東京五輪への出場権を手にし、「自分らしい登りをしたい」と意気込んでいた。

今年1月に負傷した左手薬指に痛みを抱えたまま迎えた大舞台。最初のスピードで15位と出遅れると、得意のボルダリングも4課題(コース)のうちクリアできたのは第1課題だけ。巻き返しを狙った最終種目のリードも中盤で落下した。

「良くも悪くも、本当に忘れられない試合になった」と胸の内を明かした原田。刻んだ悔しさを糧に、さらなる高みへと登っていく。(鈴木俊輔)

会員限定記事会員サービス詳細