「侍ジャパン」韓国戦へ 期待の吉田正尚はイチロー級「準備の鬼」

【東京五輪2020 野球 準々決勝】<日本対アメリカ>3回、中前適時打を放つ日本・吉田正尚=横浜スタジアム(松永渉平撮影)
【東京五輪2020 野球 準々決勝】<日本対アメリカ>3回、中前適時打を放つ日本・吉田正尚=横浜スタジアム(松永渉平撮影)

東京五輪の野球で、日本代表「侍ジャパン」は4日午後7時から、決勝進出をかけて韓国と対戦する。2008年北京五輪の準決勝で韓国に敗れ4位に終わったあの悪夢から13年。勝てば日本野球悲願の五輪金メダルまであと一歩となるこの試合で、活躍を期待されているのは「球界で最も三振しない男」ことオリックスの吉田正尚(28)だ。緻密な分析と日課を徹底させる「準備の鬼」でもある。

バットで軸足となる左足後方に線を引き、つま先、ホームベース付近をちょんちょんと当てて構える。同じルーティンで打席に立ち、大舞台で安打を量産する。

東京五輪でも、4安打とチームを牽引(けんいん)する吉田。五輪前、「必ず活躍する」と予言したのは元オリックスコーチの藤井康雄さん(59)だ。

「イチローと似ているな」。平成30年に打撃コーチとしてプロ3年目の吉田を指導する中で、自身の現役時代にオリックスでリーグ連覇を果たした同僚と姿が重なった。

イチローさんといえば「準備の鬼」で有名だ。開始時間から逆算し起床、球場入り後のウオーミングアップなど、同じルーティンで試合に臨み、日米通算4367安打の大記録を打ち立てた。

吉田も年140試合以上を戦うプロの世界で「1年間、同じルーティンで打撃練習をこなし、全てを野球に注いでいた」と藤井さん。スランプも少ないことも特徴にあげ、「周りがどうあれ、自分のペースを崩さない。今回も緊張せず、普段通りにできる」とさらなる活躍を期待する。

「練習で他の部員がヘロヘロなのに、いつもバットを持って、ぶんぶん振っていた。真面目で怒った記憶もない」

敦賀気比高(福井県敦賀市)で監督として吉田を指導した林博美さん(63)は振り返る。「(入学時から)打撃はレギュラークラス以上」で、高1から4番に抜擢(ばってき)された。

鋭い打球は対戦した高校の一塁手を骨折させるほどだったという。しかし、約170センチと小柄な体格などでプロの評価が低く、青山学院大へ進学。猛練習で才能を開花させ、オリックスに入団し、昨年は首位打者に輝いた。球界屈指のスイングスピードによる長打の量産は、たぐいまれなる努力に裏打ちされたものだった。

日の丸を背負い、重圧や緊張感がのしかかる中でも、〝いつもの〟頼もしい姿で韓国戦に臨む。(田中一毅)

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