ベラルーシ 五輪でも強権 亡命選手の帰国 大統領指示か

羽田空港で警察官と話すクリスツィナ・ツィマノウスカヤ氏=1日(ロイター)
羽田空港で警察官と話すクリスツィナ・ツィマノウスカヤ氏=1日(ロイター)

【モスクワ=小野田雄一】東京五輪の陸上女子ベラルーシ代表のクリスツィナ・ツィマノウスカヤが亡命を求めた問題は、ベラルーシのルカシェンコ政権による強権統治を改めて鮮明にした。欧米諸国もスポーツへの政治介入だと同政権への非難を強めている。

ツィマノウスカヤは200メートル予選に出場予定だったが、1600メートルリレーへの参加を突然、命じられたとコーチを批判。その後、帰国を命じられたが、投獄される恐れがあるとして羽田空港で保護を求めた。支援団体によると、4日、人道理由で査証(ビザ)を発給したポーランドに向けて出国する見通しだ。

ロシアのメディアによると、帰国命令はルカシェンコ大統領自身が決定したとの観測が出ている。ロイター通信は、帰国についてコーチがツィマノウスカヤに「上層部の決定だ」と説明したと伝えた。

ルカシェンコ氏は五輪期間中、「われわれはどの国よりスポーツに投資している」にもかかわらず、自国選手の成績が振るわないと不満を表明。コーチ陣に一義的な責任があるとしつつも、選手について「ハングリーさがない」と批判するなど、高圧的な態度をみせていた。

ルカシェンコ氏はベラルーシのオリンピック委員会会長を今年2月まで務め、長男と交代した。理由は、同国大統領選をめぐる昨年8月以降の抗議デモを支援した選手に圧力をかけているとして、国際オリンピック委員会(IOC)の制裁を受けたためだった。ただ、IOCは長男の会長就任も認めていない。

ベラルーシでは抗議デモの弾圧にとどまらず、最近は他国の旅客機を強制着陸させて搭乗していた反体制派ジャーナリストを拘束。欧米から非難が上がった。ブリンケン米国務長官はツィマノウスカヤへの帰国命令について「国境を越えた抑圧行為。五輪精神に反する」とツイッターで批判した。