鉄棒「金」橋本 挫折乗り越えマメむけても練習

【東京五輪2020体操】<男子種目別 鉄棒>橋本大輝の鉄棒=3日、有明体操競技場
【東京五輪2020体操】<男子種目別 鉄棒>橋本大輝の鉄棒=3日、有明体操競技場

プレッシャーをみじんも感じさせない演技だった。体操男子種目別鉄棒の決勝で3日、橋本大輝(19)が個人総合に続く金メダル。全ての技を丁寧にこなし、美しい着地を決めると、両腕を突き上げ、ガッツポーズした。

「まさかここまでいくとは…」。周囲も驚く急成長の陰には挫折もあった。

同世代の体操界では出遅れていた方だった。中学3年時の全国中学校体育大会、本番前の練習で右足首を骨折した。けがを押して出場はしたものの、演技ができたのは、あん馬と鉄棒だけ。順位は最下位の107位に沈んだ。

飛躍を遂げたのは高校からだ。中学の大会で全国1、2位だった2人と同じ市立船橋高校(千葉県船橋市)に進学。「(1位だった)あいつには負けられない」と話し、手のマメがむけても鉄棒の練習を続ける姿を、同大会2位だった渡辺向祥(こうしょう=20)は覚えている。

同校の神田真司総監督(62)は「同世代は強い子が多いが、その中でも倍くらい練習していた」と振り返る。「そろそろ終わりにしておけよ」と声をかけることも多かったという。

覚えた技はすぐ試合に投入することができ、高度な技も次々とものにしていく。渡辺は「できないとは思わないタイプ。技を絶対に覚えると思って、本当に使えるようにしてしまうのがすごい」と舌を巻く。

高校2年時の大会では伸び悩む点数を補うため、最終種目の鉄棒で予定になかった技を投入。完璧な演技を披露してみせたこともある。「大輝の強さはここぞという大舞台で、最大の力を出せること」と渡辺はいう。

今大会は予選、個人総合決勝、団体決勝の鉄棒でいずれも最高得点をたたき出し、圧巻の輝きを放った橋本。今後はトップを守る立場になるが、試合後は「世界一を取り続けていきたい」と譲るつもりはないことを示し、「今大会を通じて本当に、また成長したな」と自身について語った。橋本にとっては五輪の舞台も一つのステップにすぎないのかもしれない。

(三宅陽子、吉沢智美)

会員限定記事会員サービス詳細