旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、兵庫県の60~80代の男女5人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、神戸地裁であり、小池明善裁判長は違憲と判断した。ただ、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が過ぎているとして、全員の請求を棄却した。
全国9地裁・支部で起こされた同様の国家賠償請求訴訟で6件目の判決。これまで違憲の判断も出ているが、今回を含めすべてで原告側の請求が棄却された。
原告側は、旧法が「子供を産み育てるかどうかについての自己決定権を侵害し、人格価値の平等といった憲法の根本的な価値、基本原則に反する」などとして違憲性を主張。一方、国側は違憲性について認否を明らかにせず、除斥期間の経過を理由に請求の棄却を求めていた。
原告は兵庫県内の80代男性=昨年11月に死去=と妻の80代女性▽同県明石市の小林宝二さん(89)、喜美子さん(88)の夫妻▽神戸市の鈴木由美さん(65)―の5人。
訴状などによると、80代男性は昭和43年、喜美子さんは35年ごろ、聴覚障害を理由に不妊手術をされ、脳性まひのある鈴木さんは12歳だった43年、理由を告げられないまま不妊手術を受けさせられた。