村上茉愛がこだわったショートカットの理由

【東京五輪2020 体操】<女子種目別 床運動> 村上茉愛 =2日、有明体操競技場
【東京五輪2020 体操】<女子種目別 床運動> 村上茉愛 =2日、有明体操競技場

体操女子の村上茉愛(まい)がトレードマークのショートカットにこだわるのには理由がある。一度、髪を伸ばし、他の選手と同じように結んだことがあった。すると、指導をする瀬尾京子コーチが「茉愛がどこにいるか分からない」。村上はそれを人づてに聞き、「引退するまでショートにしよう」と決めた。〝二人三脚〟で歩んできた恩師への信頼は厚く、絆は深い。

「ショートだと『パッ』って髪が動いたりして表現できる部分もあるんですよ。私、ダンス好きだから」

女子の床運動は体操種目で唯一、音楽を流して演じる。曲づくりを担当しているのは瀬尾コーチだ。街やテレビで流れる曲にも耳を傾け、体操で使えそうなものを常に集めている。村上の曲「ヒップホップビート」は複数の曲をつないでアレンジを加えたものだ。

採用したのは今季から。新型コロナウイルス禍で五輪が1年延期しなければ誕生しなかった。「いつも曲づくりで頭にあるのは『茉愛らしさ』。前作は少し柔らかかったので、今回は力強さとノリが引き立つ。本人も好きだと思う」

振り付けは山中陽子さんが担当した。瀬尾コーチと話し合い、数えきれないほど修正を重ねて完成させた。「茉愛ちゃんは筋力が強いので、一瞬力を入れて抜くといった(緩急の)動きを入れている。小さい音まで表現できるかどうかはすごく大事なんですけど、音をちゃんと聴ける感性も持っている」

村上は今大会に入って右肘を痛め、宙返りなどで苦しくなったが、「(採点で)芸術性が評価されている。ダンス系を丁寧にやれば点数が出る」と諦めなかった。ダンスやターンは外部からコーチを招き、磨いてきた。

多くのサポートを凝縮した86秒の演技だった。高難度の宙返りを小学生時代からこなした天才少女は成熟し、五輪のメダルをつかみとった。(宝田将志)

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